第166話 サンベルス城再び
俺とカエデとリアとサイさんは長旅の末、サンベルス城に辿り着いた。
そして、サンベルス城の応接間にて、コアネールさんとリコちゃんと集まった。
「凄いです!!魔力玉が2つも!!」
驚いた様子のコアネールさんとリコちゃん。
「ああ、カツラとか言うジジイに貰ったんだ」
「事情はわかりましたわ、それではこの魔力玉はサンベルス城にて大切に保管しますの」
俺はコアネールさんに風と地の魔力玉を渡す。
「そう言えばつい先程エースが帰ってきまして」
「エースくんが!?」
リアは身を乗り出して聞く。
「はい、この通り」
コアネールさんは火の魔力玉を取り出した。
「火の魔力玉!?エースの野郎任務成功したのか!!」
「流石エースくんだね」
「はい、しかし道中でG3のエメラルドに襲撃され負傷しました。今はサンベルス城の医務室で休養中です」
「エメラルド!?」
俺はアルガンド城での一戦を思い出す。
「アイツか......」
「はい、何とか命からがら逃げ切り、任務を達成しましたが」
「水の魔力玉を取りに行った他のメンバーは!?」
リアは心配そうに聞く。
「それがまだ応答がありませんの、何かトラブルに巻き込まれているのかも知れません」
そのコアネールさんの話を聞き終えると、シュンとするリア。
「リア......大丈夫か?」
「う、うん......ちょっとエースくんの様子を見に行ってくるね」
そう言ってリアはトボトボと歩き、応接間から出ていった。
リア、明らかに元気がない。心配だ。
俺が心配していると、サイさんが口を開く。
「コアネール様、魔王軍のサイです」
そう言って頭を下げるサイさん。
「はい、久しぶりですわねサイさん」
「はい、久しぶりですね。本日は魔王軍の代表として参りました。魔王様の意向ですが、この魔力玉をコアネール様に預け終えた後、氷の魔力玉奪取のため私はトリコーリ山に向かいます」
「はい、是非お願い致しますわ」
「ま、待ってくれよ!!それなら俺も行くよ!!」
サイさんとコアネールさんの話に割って入る俺。
「エースはエメラルドに襲撃されたんだろ?光の魔力玉のときはサファイアに襲撃された、1人で魔力玉を取りに行くのはあまりに危険すぎる」
俺はそう言った。
オマケに水の魔力玉もどうなっているかわからない。もしかしたら誰かの妨害に合っているのかも知れない。
「何だロイくん?私を心配してくれているのか?」
そう言って俺を見るサイさん。
「い、いえ......心配というか何というか......」
「わかりましたわ。すいませんが今は人手不足、氷の魔力玉奪取はサイさんとロイさんにお任せします」
「カエデはどうする?」
俺はカエデを見て、聞いた。
「私は......」
カエデは少し迷うような仕草を見せる。
「私はサンベルス城に残るわ、手に入れた魔力玉を守るメンバーも必要でしょ」
カエデは俺をチラッと見る。
「わかった。久しぶりに俺とお別れだけど寂しくないか?」
「そんな訳ないでしょ!!バカ!!」
カエデは俺の肩を軽く叩く。
「わかりました、ありがとうございます。皇帝選挙も迫ってきて今はバタバタしていますが、皆で何とか乗り切りましょう」
こうして、今度はサイさんとサイさんの故郷トリコーリ山に向かうこととなった。
それから俺達はコアネールさんに部屋を貸してもらい、一晩休んで出発することとなった。
明日からサイさんと旅だ、気合い入れていかないと......
俺がサンベルス城の廊下を歩いていると、医務室の前で立っているリアの姿が見えた。
「あれ?リア?」
「あ......お兄ちゃん」
「どうした?こんなところで、エースにはもう会ったのかよ」
「まだ会えてないの、どんな顔して会えばいいかわからなくて」
リアは暗い顔をする。
「何だよ、俺に似て超可愛い顔してるんだからその顔で会えばいいだろ」
「裏切ったリアがまたみんなの前に出てもいいのかわからなくて......」
「大丈夫だって!みんな許してくれるよ、な?頑張って会ってみな」
俺はリアの肩に手を置いた。
「お兄ちゃん......」
「リアはいい子だから許してもらえるよ!心配すんな、お兄ちゃんが付いてるから」
ポンポンとリアの肩を叩く俺。
「ありがとうお兄ちゃん」
そう言うと、リアは医務室のドアノブに手をかけた。
ガチャ......
そして、ドアを開け、中に入った。
医務室の中には、腕に包帯を巻いたエースの姿があった。
「あ、姉上、今日の昼ご飯は何ですか?」
「エースくん......」
「え......」
エースは入り口の方を向く。
そして、リアと目があった。
「え、えー!!?ジョ、ジョーカーさん!?」
驚いて大声を上げるエース。
「久しぶりだねエースくん」
「な、何でジョーカーさんが!?戻って来ていたんですか!?」
「もうジョーカーじゃないけど......エースくん」
リアは頭を下げる。
「ジョ、ジョーカーさん!?」
「ごめん......リア、カードのリーダーだったのに任務を全う出来なかった。リアの勝手でみんなに迷惑かけた......ごめんなさい」
そう言いながら頭を下げ続けるリア。
そして、リアの目には涙が流れてくる。
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