第159話 魔王様の結婚前夜
「ねえねえ!!キザさんとはどういう関係なの!?」
「13歳で結婚って魔王軍だと普通なの!?」
あれから一旦魔王城に入り、リアとカエデから質問攻めに合う魔王様。
「あーもう!うるさいよ!!キザは許嫁で、お父様が勝手に約束しただけだって!!魔王家では良くある話だよ」
魔王様は怪訝そうにしながらそう言った。
「レイカ」
「げっ!!」
すると、魔王様の目の前にキザさんが歩いてきた。
「キ、キザ......」
「困らせてしまったみたいですまないね」
「い、いや......」
「けど僕のレイカへの愛は本当だよ、親が決めた結婚だけど僕は君を幸せにしたい」
「え.....い、いや、えーっと」
「良い返事を待っているよ」
そう言ってキザさんは去っていった。
「う、うう......」
赤くなって顔を隠す魔王様。
「イカちゃんモテモテだね」
「うっさいペッタンコ!!」
「レイカは結婚したくないの?」
少し心配そうに聞くカエデ。
「そ、それは......」
魔王様は俺の顔を横目で見る。
ん?何だろう?
「確かに魔王様にはちょっと早いかも知れませんが、キザさんイケメンで優しそうで良いじゃないですか」
俺はそう言った。
すると、魔王様は怒りの表情を見せる。
「え?何で怒って」
「バカーーーーーーーー!!!」
魔王様は俺の腹に頭突きする。
「ゴバッ!!」
「バカ!!ロイロイ!!もう知らない!!」
そう言って魔王様は走って行ってしまった。
「ど、どうして......」
「アンタ、ホント女心がわかってないわね」
「ダメダメお兄ちゃん......」
カエデとリアは呆れながらそう言った。
リアまで......一体なぜ......
魔王様は怒ったまま自分の部屋に駆け込み、引きこもってしまった。
俺は魔王様の部屋の前に行き、困惑した表情を浮かべた。
「ま、魔王様、すいません出てきてくださいよ!!」
「うっさい!ロイロイあっち行け!!」
テコでも出てきてくれそうにない......
「どうしよう......」
俺は頭を抱えた。
俺は隣に立っているカエデをじっと見た。
「カエデ、お願いだ。魔王様と話してくれないか?」
「え?私?」
「頼む!!女同士の方が話しやすいこととかあるだろ?な?」
「こんなのアンタの問題なんだから自分で解決しなさいよ」
「それはそうだけどお願いだよ!!魔王様に嫌われたくないぃ!!」
俺がそう言って手を合わせて頼み込むと、カエデはため息をつきながらも、頷いた。
「全く、仕方ないわね......」
「ありがとうカエデ様!!」
コンコンッ!!
カエデはレイカの部屋のドアをノックした。
「レイカ、私よ。ちょっと話しない?」
「......」
しばらくして、ドアが少しだけ開き、レイカの顔が覗いた。
「カエデ……」
「入ってもいい?」
レイカは黙ってうなずき、カエデを部屋に招き入れた。
二人はベッドに腰掛け、カエデが口を開いた。
「レイカ、今回のことだけど......」
「キザは良い人だし、優秀で僕が不得意な部分をカバーしてくれている。仲間として大切に思ってるよ」
カエデが質問する前に答えるレイカ。
「レイカ......」
「だけど結婚何てまだ考えられない。まだ僕男の子とお付き合いしたこともないし......」
レイカはカエデの方を向く。
「カエデ!男の子とお付き合いするのってどんな感じなの?」
「えっ!!?」
質問されたカエデは驚いた。
実はカエデも男性経験は無く、動揺していた。
「い、いやー......ま、まあ好きな人と一緒になれるのは楽しいし、幸せなこと......」
ボソッと「......だと思う」と呟くカエデ。
「そうだよね......キザのことは好きだけど、幸せになれるのかな......」
「うーん、何かレイカの言うその好きと付き合ったり結婚したりする好きはまた違うように見えるよ」
「......」
「私も女だからキザさんの気持ちはわからないけど、きっとレイカのこと本気で好きなんだと思うよ。だからレイカもキチンと答えて上げないとダメなんじゃないかな」
「......うん、けどね、僕また誰かがいなくなっちゃうんじゃないかって不安なんだよ」
そう暗い顔で言うレイカ。
ここ最近魔王城からは人がいなくなってばかりで、レイカは日々不安な気持ちを抱えていた。
「レイカ......」
「これ以上大切な人がいなくなるのは嫌、キザまでいなくなっちゃったら僕......」
「大丈夫よレイカ、その気持ちちゃんと伝えれば大丈夫」
カエデはレイカの頭を撫でる。
「カエデ......」
レイカはカエデを見て微笑む。
「ありがとカエデ!!それとキザと話す前にやることがあるんだ」
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