第156話 城下町デート 2
俺とカエデは食堂を出た後、城下町の賑やかな通りを歩きながら、色々な店を見て回った。
屋台の香ばしい匂いや、店先に並ぶ色とりどりの商品に目を奪われながら、俺達は楽しい時間を過ごしていた。
「やっぱり凄いわね、魔王城城下町。ねえ、ロイ、次はあの店見ていい?」
カエデが指差したのは、古いアクセサリー屋だった。
「いいね!入ってみようか」
俺達はその店に足を踏み入れた。
店内はアンティークな雰囲気で、所狭しと並ぶアクセサリーが歴史を感じさせた。
カエデは興味深そうにショーケースを覗き込み、様々なアクセサリーを見ていた。
「あれ、カエデってアクセサリーとか興味あるの?」
「何よ、私がアクセサリーに興味あったらおかしいの?」
「い、いや、そう言う訳じゃないけど......剣とか修行とかにしか興味ないと思ってた」
「どういうイメージなのよ私......」
そう言うと再びカエデはアクセサリーを覗き込んだ。
「これ、素敵ね」
カエデが指差したのは、シンプルだけど上品なデザインのネックレスだった。
銀色のチェーンに、小さな青い宝石が輝いている。
何だがカエデみたいなネックレスだな。
「これカエデに似合いそうだな」
「そう?じゃあ買っちゃおうかな」
カエデはネックレスを手に取ろうとする。
「いや!!待ってカエデ!!」
しかし、俺はそれを制止した。
「え?どうしたの?」
「い、いや......今日は俺がエスコートするって言っただろ?プレゼントしてあげるよ」
俺はそう言って、ネックレスを手に取り、店主にネックレスを包んでもらうよう頼んだ。
「え!?そんな、悪いわよ」
「プレゼントさせてくれよ、カエデにはいつもお世話になってるからさ」
「そんなこと......」
「はい!絶対カエデ似合うと思うぜ!!」
俺は店主からネックレスを受け取ると、そのままカエデに手渡した。
「......本当にいいの?」
「おう!!魔王城で働いてた時の貯金もあるしさ!」
「ありがとう」
カエデはネックレスを包んだ袋を嬉しそうに見つめながら握り締めた。
良かった、喜んでくれているみたいだ。
すると、カエデはネックレスの袋を開け、取り出し、首にかけた。
ネックレスはカエデの銀髪と青い目と呼応して、より一層綺麗に見えた。
「どう?似合う?」
「うん、すごく似合ってるよ」
俺は心からそう思った。
カエデの笑顔とネックレスの輝きが相まって、まるで天使のように見えた。
一方、その様子を陰で監視していたレイカとリア。
「お兄ちゃんがカエデさんに何かプレゼントしてるね、いいな......」
「男女でプレゼントを渡すなんて、不純異性交遊だよ!!」
「そ、そうなの?」
「僕もまだプレゼントなんて貰ったことないのに......邪魔してやる!!」
「......うーん」
リアはレイカを見つめた。
その視線に気付くレイカ。
「何?」
「イカちゃんってさ、お兄ちゃんのこと好きなの?」
「ハ、ハアーーーーーーーーー!!?」
レイカは驚いて大きな声を上げる。
「こ、声大きいよ」
「ぼ、僕がロイロイを好きって!!あり得ないし!!っていうかロイロイが僕のこと好きなんだよ!!」
「イカちゃんならリア応援するよ」
リアはニコッと笑う。
「だ、だから違うって......」
「そうなのかなー?」
気付いてないだけで好きなんじゃないの?と思うリアだったが、口には出さずにいた。
「じゃあもう帰ろうよ、邪魔しちゃったらカエデさんが可哀想だよ」
「いや、リア充は爆破しなくてはならない」
すると、レイカは大きなロケットランチャーを取り出した。
「ええ!?そんなものをどこから!?」
「これで文字通り爆破してやる!!」
「イ、イカちゃん......」
暴走するレイカを見ながら考えるリア。
(お兄ちゃん、リアはお兄ちゃんに彼女が出来るの嫌だけど、お兄ちゃんが幸せならそれが一番大切だよ)
ロケットランチャーの標準を合わせるレイカを見つめるリア。
(ちょっと待って?イカちゃんはこのままだと悪い子になってしまうかも知れない、お兄ちゃんはカエデさんと一緒になれたら幸せ、カエデさんもお兄ちゃんみたいなイケメンで性格も良くて頼りになってカッコいい男の子と一緒になれたら幸せになれる。つまり今リアがイカちゃんを止めることが一番の選択のはず)
リアの目は覚悟を決めた目をしている。
「よし!標準OK!!あの盛ってる猿どもをこのロケランでぶっ放して......」
「イカちゃん」
「へ?」
「ごめん!!」
ドンッ!!
リアはレイカの頸の後ろを手刀で殴る。
「あえっ!!」
断末魔を上げると、静かに気絶したレイカ。
そのレイカをリアはおんぶする。
「ごめんねイカちゃん、でもリアはイカちゃんも好きだしお兄ちゃんもカエデさんもみんな幸せになってほしい」
そう言って後ろを向き歩き出すリア。
その後ろ姿は何か淋しげであった。
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