第145話 勇者の母
「おー!ここがカエデの故郷!」
俺とカエデの二人は光の魔力玉を入手するため、サンベルスを離れ、カエデの故郷であるオルトルバに着いた。
「のどかでいい町だな!」
「そ、そう?」
「なんでこんなのどかな町で育ったのにカエデは凶暴なんだ?」
「アンタね......て言うかアンタ達が凶暴にさせてるんでしょうが!」
その時、町の入口に立っていた門番らしき人が近づいてきた。
「アンタ達、旅の者かな?」
「あ、門番のおじさん」
「ん?」
門番はカエデをじっと見る。
「あれ!?カエデちゃんじゃないか!!」
「こんにちは、いつもご苦労様です」
カエデは頭を下げた。
それを見て俺も頭を下げる。
「カエデちゃんが男の子連れてるなんて珍しいねぇ」
「い、いや……」
「ねえ!あれってカエデちゃんじゃない!?」
「ホントだ!カエデちゃんだ!」
ドガッ!!
すると、町の人達がたくさん集まってきて、俺は押しのけられた。
「いてて......何なんだよ」
「ねえカエデちゃん!サインちょーだい!」
「カエデちゃん握手して!」
「ま、待ってみんな、押さないで!」
群がる町人達に戸惑うカエデ。
「カエデって地元じゃ人気なんだなぁ」
「そりゃそうよ、剣技全国大会最年少記録保持者で成績も町の子ども達でぶっちぎりのトップ、おまけに容姿端麗とくれば人気もあるわよ」
「あいつって意外とスゲーんだな、ん?」
俺が横を見ると、一人の女性が立っていた。
「おばさん誰?」
「おばさん?」
女性は俺の額に指を当てた。
「へ?」
「いくらカエデの友達だからって許さないわよ?」
ビリリリッ!!
すると、俺の全身に電流が流れた。
「にがらべぁあ!!」
俺は音もなく倒れる。
「ロイ!?」
俺の悲鳴を聞いたカエデは人込みを掻き分け、二人に近寄った。
「やり過ぎたかしら?」
「お、お母さん!!」
「けほ......お母さん?」
女性は倒れた俺の前にしゃがんだ。
「フフ、カエデの母のツバキよ。どう?私の魔法はカエデのより効いた?」
「お、お母様だったのか……ガクッ」
俺が回復した後、三人は町を歩いていた。
「ごめんなさいね、久しぶりに娘が帰ってきたものだから緊張しちゃって」
「あれ緊張してたのか......」
「まさかカエデが男の子を連れてくるなんてねぇ、びっくりしたわ」
「だから別にこいつとはなんにもないんだってば!」
「いいことよ?カエデにはたくさん恋愛してもらって、その中で1番気が合った人と結婚してもらいたいから」
「うーん......」
「じゃないと私みたいにろくでもないのと結婚して、後悔するわよ......」
「お、お母さん!」
ギ、ギンの奴にしっかりしろって忠告してやらないと......
俺達はカエデとツバキさんの家に着いた。
「おー!ここがカエデん家か!大きいな!」
「お父さん昔は兵士とかやってて稼いでたからね」
「今はしがないサーカス団長だけど」
カエデとツバキさん親子は二人して暗い顔をした。
「そ、そんなことないよ!ギンはすばらしいサーカス団長だよ!サーカス団のみんなをきっちり仕切ってるし、俺に剣術や魔法を教えてくれた!サーカス団の女の子達も尊敬してるし!」
「「女の子達?」」
カエデとツバキさん親子の暗い顔は怒りの表情に変わった。
「いや!違うくて!そりゃフウカさんやミズキさんは美人だけど!」
「「美人?」」
カエデとツバキさん親子の全身から電流がピシピシと流れ出した。
あーごめんギン!潔く死んでくれ。
家に入った俺達三人。
「さあ、粗末な家だけどゆっくりしてってね」
「いえいえ!綺麗なところですよ!ん?これは?」
俺は玄関に飾ってある写真を見た。
「これ小さい頃のカエデ?」
「あ、ああ!勝手に見ないでよ!」
「へーやっぱり可愛いな、髪はこの時から銀色だったんだな」
「うぅ......生まれた時から銀色よ」
カエデは赤くなった。
「ん?これ……」
それは小さいカエデと青色の髪をした女の子とが手を繋いでいる写真だった。
「この子どこかで……」
「カエデにロイくん、今日は泊まっていきなさいよ」
「そうね、今日は遅いし、光の魔力玉を取りに行くのは明日でも遅くないだろうし」
「ああ、そうだな」
俺は写真から目を反らした。
「よーし、じゃあまずはご飯にするわよ、カエデ、手伝って」
「うん!」
二人は台所ヘ歩いて行った。
マジか......カエデとツバキさんの手料理食えるの......
「お、俺も何か手伝いますよ!!」
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