第143話 旅の準備と美術展
俺は明日旅立つ準備をしていた。
恐らく長旅になる、入念に準備しとかないとね。
よーし、少し必要な物でも買いに行くかー!
俺はコアネールさんに借りている小屋の扉を開けて外に出た。
ガチャ!!
「あ......」
「あれ?」
扉を開けて外に出ると、扉の前にリコちゃんが立っていた。
「あれ?リコちゃん?どうしたの?」
「あ、え、い、いや!ぐ、偶然ですねー、じゃ、じゃなくて!!」
リコちゃんは自分の頬を軽く叩いた。
「あ、明日旅立つ準備のお手伝いが出来たらなーって思って」
「マジ!?手伝ってくれるの!?ありがとう!」
俺はリコちゃんの手を握った。
「え!?い、いえ、お邪魔じゃなければ......」
「そんなことある訳ないじゃん!今から買い物に行くところだったんだ、良かったら一緒に行こうよ!」
「あ!は、はい!喜んで!」
俺とリコちゃんは町に買い物に行くことになった。
「いやー本当にありがとうリコちゃん!たくさん必要な物が買えたよ」
俺はリュックに買った物をたくさん詰め、こ満悦だった。
リコちゃんは流石サバイバル能力が高く、日持ちのするものや非常食に詳しかった。
「いえいえ、お姉さんですから!お役に立てたなら良かったです」
リコちゃんもニコニコしていた。
「では明日から頑張って下さいね、明日はお見送りに行きます!」
「うーん」
俺は少し考え込んだ。
「どうしたんですか?」
「リコちゃんって今日時間あったりするかな?」
「今日ですか?今日は特に何も予定はありませんが」
「じゃあ今日付き合ってもらったお礼したいんだけど良いかな?どこかリコちゃんが行きたい場所一緒に行こうよ!」
「ええ!?」
それを聞いてリコちゃんは赤くなる。
「うん、もちろん俺の奢りでな!」
「そ、そんなことは......私バイトでお金稼いでますから」
「それじゃお礼にならないよ、大丈夫だよ俺だって魔王城で働いてたお金あるからさ、ここは俺を立ててくれよ」
「そ、そうですか?で、ではお願いします」
「よし!じゃあ決まりだね!どこか行きたいところとかある?」
「そうですね......」
俺とリコちゃんは美術展に来た。
どうやら期間限定で開催している世界中の芸術が集まっている展覧会らしい。
「うわー!凄い!これグッホさんの作品ですよ!」
リコちゃんは目をキラキラさせながら絵を見て言う。
「へー、グッホって俺でも知ってるぐらい有名だね」
「はい!実は私のお母さんがグッホさんの教え子だったんですよ!」
「ええ!?そうなの!?お母さん凄いね」
「ええ、母の絵はグッホさんと同じで人を引き付けるような絵でした、私もこれぐらい描けるようになりたいな」
そう言ってリコちゃんは絵を見つめる。
「リコちゃんは絵が好きなんだね」
「はい!大好きです!いつかこの展覧会に飾ってもらえるような絵を描きたいと思ってます!」
「そっか、リコちゃんも夢に向かって頑張ってるんだね」
「はい......ある方に夢を追いかけること、失敗しても前向きに頑張っていくことを教わりましたから」
リコちゃんは少し赤くなった。
「ある方?誰?」
「わ、私の尊敬している人です!」
「そうなんだ、その人羨ましいねリコちゃんに尊敬されるなんて」
「は、はい......凄い方です。最近はよりたくましくなってカッコよく......じゃ、じゃなくて!次の絵見ましょうか!」
リコちゃんはそそくさと次の絵の方へ歩みを進めた。
今日のリコちゃんはずっと楽しそうだ。本当に絵が好きなんだなリコちゃんは。
それから俺とリコちゃんはしばらく絵を見て回った。
流石リコちゃんは普段抜けているところがあるけど、絵に関しては詳しく色々と説明してくれた。
リコちゃんは良い子で明るくて元気が貰えるな。
そして、俺達はしばらく絵を見て回った後、帰路に着いた。
「リコちゃん、今日はありがとう!色々買えたし色々知れて楽しかったよ!」
「こちらこそ!ロイさんと絵が見れて楽しかったです!!あの......」
リコちゃんは赤くなりながら、言い淀んだ。
「どうしたの?」
「よ、よかったらまた一緒に絵を見に行きたいです」
「何だよそんなことか、勿論リコちゃんが良いなら喜んで!!」
「あ、ありがとうございます!!」
リコちゃんは嬉しそうに笑顔になった。
「それでは明日から頑張って下さいね!!私、応援してますから!!」
「ありがとうリコちゃん、それじゃ」
「はい!!お休みなさい!!」
そう言って別れる俺とリコちゃん。
「あっ!!待ってリコちゃん!!」
「え?何ですか?」
「ごめんごめん、これさっき買ってたの忘れてた」
俺はリコちゃんにヒマワリが付いたヘアゴムを手渡す。
「これは?」
「プレゼントだよ!リコちゃんの可愛いポニーテールに似合うと思ってさ!」
「えっ!?あ、ありがとうございます!!」
「良かったら使ってくれよ!!じゃっ!またねリコちゃん!!」
そう言って俺はリコちゃんに手を振りながら歩いていった。
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