第138話 失脚の皇女
「ハア.....ハア......」
ここは皇都ニューペルシアル、経済・科学・学問・軍事力等あらゆる分野で世界一の都市である。
そこにフードを被った女が路地裏で1人逃げていた。
「ハア......ハア......なぜ私がこんなことに......」
「見つけましたよロゼーリア様」
「!?」
その女は服を掴まれ投げ飛ばされる。
投げ飛ばされ、フードが取れた。
女は国の金を横領するなどの不祥事で失脚した元皇帝ベインの長女ロゼーリアだった。
「きゃあ!!」
ロゼーリアは地面に倒れ込んだ。
「探しましたよロゼーリア様」
「あ、あなた達は!」
ロゼーリアはいつの間にか複数人に取り囲まれていた。
取り囲んでいるのはバスターズのメンバーであり、現リーダーのサイガがロゼーリアの目の前に立っていた。
「バスターズ!!私にこんなことをして許されるとでも」
「残念ですがこれは我が主からの命令なのです」
「主!?バスターズへの命令権は私にありますの!」
「いえ、残念ながらもう違います」
「そ、それは......」
バスターズは本来次期皇帝第1候補に付くもの、つまり失脚したロゼーリアはバスターズへの命令権は無くなっていたのだ。
「弟のエンバンスからの差し金ですわね!!実の姉にこんなことをするなんて」
「残念ですね、エンバンス様は貴女と違い誠実な御方だ。姉と言えど国の金を横領したり、権力を誇示して男漁りをしているような女は国には必要ないとの意向です」
「私そんなことしていませんわ!!捏造して私を陥れる作戦ですわね!!」
「残念ですが事実はどうでもいいのです。貴女も権力者なら良く知っていることでしょう、生き残った方が真実なのですよ。貴女は金と男に目が眩んだ悪女として歴史に名を残すのです」
「そんな......」
サイガは剣をロゼーリアに向ける。
「元上司だ、最後の慈悲として聞いてあげます。最後に言い残すことはありますか?」
「......私は、不祥事などやっていないです!そんな不名誉を受けて、死にたくありません......」
ロゼーリアは涙を流す。
「そうですか、では不祥事を起こしてしまったことを後悔していると書き換えて伝えておきましょう」
サイガは剣を振り上げた。
「嫌.....死にたくない......」
ガキンッ!!
その瞬間、サイガの剣は何者かに防がれた。
「なに!?」
「え......」
「ハッハッハ、しおらしくなって、らしくないですな!ロゼーリア姫!」
「あ、あなた!トップ!?」
サイガの剣を防いだのはバスターズの元リーダー、キャプテン・トップだった。
「キャ、キャプテン・トップ!?」
サイガは剣を引き、後退する。
「トップ......どうして」
「ハッハッハ、騎士は主を守るのが仕事ですからね!」
「主って!私はあなたを捨てましたし、もう姫でもない!助けられる理由がないですわ!」
「ハッハッハ、いつも綺麗におめかししている姫がボロボロですね、それも案外様になっているではないですか」
ロゼーリアはボロボロになった服を見て赤くなる。
「そ、そんなこと聞いてないですわ!もう私はあなたの主ではないですし、関係ないはずですわ!!」
「いえ、貴女は私の主です。10年前に約束したでしょう」
「10年前って......何を言って......」
『あなたを私の騎士にしてさしあげますわ』
「あ......」
「とにかく、一緒に逃げますよ」
トップはロゼーリアを持ち上げ、担ぐ。
「ちょ、ちょっと!」
「サイガ!バスターズは任せたぞ!」
「キャ、キャプテン!!」
トップは猛ダッシュで走り出した。
「に、逃がしてはダメです!捕まえなさい!!」
サイガと他のバスターズはトップを追いかけるが物凄いスピードで逃げられてしまった。
サイガは立ち止まり、壁にもたれ掛かる。
「キャプテン、一体何を......」
「サイガ様」
すると、サイガの隣のバスターズの女の子が声をかける。
バスターズの参謀シナモである。
「シナモ......」
「今はバスターズのキャプテンはサイガ様です。その呼び方は不適切かと」
「そ、そうだな......まあいい、トップとロゼーリアは国際指名手配にかける。いくらトップと言えど足手まといのお姫様を抱えて逃げられるのは限界があるはずだ」
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