第119話 勇者とメイド
その頃、カードのキング、クイーン、ジャックと対峙するカエデとメイドМは.....
「カエデ様、どう戦いましょう?」
メイドMはカエデに聞く。
「え?貴方が先導してくれればいいんじゃない?悔しいけど明らかに貴方の方が戦闘スキルが」
「嫌です」
メイドМは無表情でキッパリと言った。
「な、何で?」
「責任ある立場になりたくないのです。指示待ち人間が一番楽なのですよ」
「あ、貴方何考えてるか良くわからないわね。そんなに強いのに」
「そうでしょうか?」
「わかったわ、やっぱり今の3対2の状況、相手の頭数を減らすのが先決ね。相手は遠距離型の魔法使いのキング、パワーアタッカー型のクイーン、素早い剣士のジャック、3人で上手く連携しながら戦ってくる」
「はい、そうですね」
「私1人で3人を相手するのは無理だったけど、貴方の瞬間移動があれば遠距離近距離関係無く戦える。出来ればキングの魔法を阻止しつつジャックを押さえてほしい、その間にクイーンを私がやる。カード2人相手に無理を言ってるのはわかってるけど、お願いしたいわ」
「承知致しました。キング様とジャック様を押さえればいいのですね」
そう言ってメイドМは腕を回す。
「出来るの?」
「出来るも何もカエデ様の考えた作戦ですよね?」
「う、うん!じゃあ頼んだわよ」
「承知致しました」
シュン......
その瞬間、メイドМは消えた。
そして、ジャックの背後に現れた。
「何っ!?」
キンッ!!
ジャックは背後からナイフで斬りつけるメイドМの攻撃を剣で防いだ。
「今の攻撃に反応出来るのですね」
「ハハ、メイドの姉ちゃん、カードを舐めてもらっちゃ困るぜぇ!!」
「くらいやがれ!!」
その横からクイーンがメイドМにパンチを放とうとする。
「貴方の相手は私よ!!」
しかし、クイーンにカエデが斬りかかる。
「チッ!!」
クイーンは攻撃を止め、カエデの攻撃を避けた。
「クソガキが!俺に勝てると思ってんのか!!」
クイーンはカエデの攻撃を避けながら、蹴りを放つ。
ブンッ!!
しかし、カエデは素早く避ける。
「クイーン、援護する」
キングは遠くから地面に手を付けた。
「させませんよ」
その瞬間、ジャックの目の前からメイドМが消え、キングの目の前に現れた。
「なっ!?」
「せいっ!」
メイドМは手に火魔法を纏わせ、キングに向かってパンチを放った。
キングは手を地面から離し、攻撃を避ける。
「なるほど、火魔法を纏わせ氷魔法での防御をさせない攻撃か......」
キングはそのままバックステップし、氷柱をメイドМに投げつけた。
しかし、メイドМはしゃがんで避ける。
その背後にはジャックが剣を構えて立っていた。
「オラッ!!」
ジャックはメイドМに向かって剣を振り下ろす。
しかし、メイドМは一瞬にして消え、剣は空を斬る。
そして、メイドМはジャックの上に現れた。
「またそれかよ!!」
メイドМの上空からの蹴りを両手で受けるジャック。
「グッ!!」
ジャックは防いだ勢いで少し後退した。
「やはりカード、一筋縄ではいけませんね」
メイドМは着地し、ナイフを構えた。
それを見ていたカエデ。
「凄い......本当にカード2人相手に互角以上に」
「余所見してんじゃねー!!」
クイーンはカエデに向かって蹴りを放つ。
その蹴りをバックステップで交わすカエデ。
「ハアッ!!」
そのままカエデは刀を横振りでクイーンに斬りかかった。
キンッ!!
しかし、クイーンは腕で防ぐ。
「残念だったな、腕にも鋼鉄入ってんだ!!」
「これならどう!!」
カエデは刀を伝って雷魔法で電撃を流し込んだ。
「な、なにっ!?」
ビリビリビリィ!!
電撃をくらうクイーン。
「グハアッ!!」
シュー......
クイーンは膝を付いた。
「終わりよ!!」
膝を付くクイーンに刀を振り下ろすカエデ。
パシッ!!
しかし、クイーンは膝を付きながら刀を素手で掴んだ。
「なっ!!」
「良くもやりやがったなクソガキ!!」
クイーンは立ち上がり、刀を引っ張った。
刀ごと引き寄せられるカエデ。
「し、しまっ!!」
「オラッ!!」
ドゴッ!!
クイーンのパンチはカエデの脇腹に直撃した。
「ガハッ!!」
カエデは吐血する。
しかし、何とか意識を保ち、刀を握る。
「も、もう一発......」
カエデはもう一度刀から電撃を流し込む。
その電撃はまたクイーンに流れ込んだ。
ビリビリビリィ!!
「ガアアアッ!!」
クイーンは電撃をくらうが、膝を付かず踏みとどまった。
「な......そ、そんな......」
「ハア......ハア......テメーの攻撃なんざ効かねーんだよ!!」
クイーンはカエデの顔面目掛けてパンチを放つ。
「ま、まずい......」
パシッ!!
しかし、メイドМが瞬間移動で現れ、クイーンの攻撃を防いだ。
「メイドМ!!」
「チッ!!またテメーか!!」
「大丈夫ですか!?カエデ様!」
「メ、メイドМ!!危ない!!」
「え?」
メイドМの横には剣を突き付けるジャックがいた。
「すまねーなメイドの姉ちゃん、こっちに瞬間移動すると思ってたぜぃ!!」
「くっ!!」
ザシュッ!!
ジャックの剣はメイドМの肩に突き刺さる。
「ぐっ!!」
「メイドМ!!」
「カエデ様、手を......」
「あ、うん!!」
カエデはメイドМの手を握る。
すると、メイドМとカエデはカード達から離れた位置に瞬間移動した。
メイドМは突き刺された肩を押さえて、膝を付く。
「ハア......ハア......ジャック様があんなに素早く私の瞬間移動位置を予測してくるとは、迂闊でした」
「そんな!私がヘマしたせいよ!この傷は早く治療しないとヤバいわ!」
カエデはメイドМの傷に手を当てる。
すると、カエデの手からは魔力が放出され、メイドМの傷は治っていく。
「カエデ様、回復魔法を使えるのですね」
「ちょっとだけよ、止血する程度だからダメージ自体は治せない」
「そうですか、カエデ様、脇腹のダメージは?」
カエデは脇腹を片手で押さえていた。
「わからない、けど肋骨が何本かいかれてると思う」
「そうですか......」
メイドМは刺された右手を動かそうとするが、上手く動かない。
そして、カードの方を見た。
クイーンはダメージを負っているが、立ち上がっていた。
「カエデ様、潮時です。これ以上は戦えない」
「ええ、貴方は安全な場所に避難して」
「何を言ってるのですか、カエデ様もです」
「私は逃げられない、もう少しレイカのために時間を稼ぎたい」
「無理です、これ以上はカエデ様の命に関わります」
「それでも!レイカと約束したんだから最後までやり遂げるわ」
カエデは脇腹を片手で押さえながら再び刀を構えた。
「全く......カエデ様は聞き分けが良いと思っていたのですが」
メイドМも右肩を押さえながら立ち上がった。
「私も最後までお供します」
「いえ、メイドMはこの戦いに関係ないわ。これ以上は巻き込めないわ」
「お供しますよ。ここまで来たら一蓮托生です」
「貴方......どうしてそこまで」
「カエデ様は私の妹みたいなものですから」
「それは良くわからないけど......ありがとう」
その時、カードの3人が動く。
「アイツらはもう虫の息だ。一気に終わらせよう」
「ああ」
クイーンはジャックを掴む。
そして回転し、カエデとメイドМがいる場所に投げ付けた。
ジャックはすごいスピードで飛んでくる。
「来ますカエデ様!!」
「うん!!」
「終わりだぜぃ!!」
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