第116話 サイVSキーヤ
ロイはしばらく走ると、サイの姿が見えた。
「サイさん!!」
ロイが呼びかけると振り向くサイ。
「ロイくん!?エースはどうしたんだ!?」
「倒しました!!」
それを聞くと、サイは一瞬驚いた表情をするが、直ぐに微笑んだ。
「そうか、良くやった」
「ところでサイさんは一体?」
「ああ、コイツらの相手に手を焼いていてな」
サイの前には長身でガタイの良い獣人の男が立っていた。
「コイツは?」
「山猫山賊団の団長キーヤだ、その奥にいるのが副団長のヤット」
キーヤの奥には石に座り、本を読む華奢な獣人の女の子の姿があった。
「山猫山賊団!?サンダトルトで俺達を襲ってきた奴のリーダーか」
ロイはサンダトルトで山猫山賊団の団員に襲われたことを思い出す。
「何だテメー?また弱そうなのが出てきたな」
キーヤはそう言う。
「サイさん、一緒に戦いましょうか?」
「いや、魔王様の後を追ってくれ、コイツらは私が何とかする」
「わかりました!サイさん、どうかご無事で」
「大丈夫だ、ロイくんにデートすっぽかされたまま死ねないからな」
スマウでサーカスでのデートをすっぽかしたことを思い出すロイ。
「うっ!!と、とにかくご無事で!!」
「ああ、魔王様は任せるぞ」
それを聞くとロイは再び走り始める。
「おっと!アイツは誰だかわからんが、逃がしゃしねーよ!」
キーヤは高くジャンプし、サイを飛び越えロイを追おうとする。
「させるか!!」
サイは氷の刃を投げた。
ザシュッ!!
その氷の刃はキーヤに直撃した。
しかし、キーヤは平然としている。
「なっ......私の攻撃を受けて何で平気なんだ!?」
「死にやがれ!!」
キーヤはロイに鉤爪を飛ばし、攻撃した。
キンッ!!
しかし、何かに弾かれ攻撃が届かない。
「な、何だ!?」
何かに弾かれた鉤爪を引っ張り、キーヤは地面に着地した。
その間にロイは走り去っていった。
「今のは......」
「大丈夫かサイ」
サイは声のする方を見た。
そこには元魔王軍第1魔将のランドが立っていた。
「ラ、ランド様!?」
「何も言うな、コイツらを倒せばいいんだな」
「は、はい......」
ランドはサイの横に並ぶ。
「お前、魔王軍第1魔将絶対防御のランドじゃねーか!!」
「超高値の賞金首ね」
キーヤとヤットはランドを見ながら言う。
「ランド様、言いたいことが山程ありますが」
「ああ、コイツらを倒したら聞いてやる」
ランドとサイは目を見合わさずに話す。
「敵の特徴は?お前のことだ、見極めているのだろ?」
「はい、まず目の前のキーヤと言う男、高い身体能力があり、まるで痛みを感じてないような強靭な肉体を持っています。そしてあちらのヤットという女は何もせず本を読んでいます。そして......」
サイは氷の礫をヤットに向かって投げた。
キンッ!!
氷の礫はヤットの前で弾かれ、落ちた。
「このように恐らく結界を張っているのか攻撃が届きません」
「なるほどな、難しいな」
ランドは少し考え込む。
「ランド様?」
「キーヤとかいう男がサイの攻撃も受けてもビクともしない、それは常識では考えられん、だからあっちのヤットとか言う女が強化魔法をかけているのかと思ったのだ」
「なるほど、だからあそこから動かないと?」
「だとしたら強化魔法と結界魔法を同時に発動させているのは原理的に有り得ない。だから何かカラクリがあるはずだ。それを分析しながら戦うんだ」
「はい、わかりました」
「クックック、何を話してるのか知らないが、魔王軍の将軍だろうが何だろうが俺達兄妹には勝てないぜ!」
「兄さん、油断しない」
「行くぜ!バカども!」
そう言うとキーヤは飛び上がって鉤爪で攻撃を仕掛けた。
キンッ!!
しかし、またしてもランドのシールドに防がれた。
「またシールドか?こんなものぶっ壊してやら!!」
キーヤは鉤爪で何度もシールドを引っ掻く。
しかし、シールドはビクともしない。
「無駄だ、このシールドは魔王様の魔法ほどの威力がないと破壊出来ん」
ランドはシールドに手を付けた。
「ハアッ!!」
そしてシールドを強く押すと、勢い良くシールドはキーヤに向かって飛んでいった。
ドスッ!!
シールドはキーヤにぶつかった。
「終わりだ」
ドガアアアアアン!!
ランドが拳を握ると、シールドはいきなり膨張し、大爆発した。
「ガハッ!!」
キーヤは爆発に巻き込まれると、地面に倒れた。
「す、凄い......流石はランド様」
「油断するな、まだ敵は残っている」
ランドはヤットの方を見る。
「兄貴はやられたぞ、降参したらどうだ?」
「......」
無視して本を読み続けるヤット。
「ランド様!後ろ!」
サイはそう叫んだ。
ランドの背後には倒れたはずのキーヤが鉤爪を構えていた。
「なにっ!?」
「死ね!!」
キーヤは鉤爪を振り下ろす。
その鉤爪はランドの腕を斬り裂いた。
「ぐあっ!!」
ランドはキーヤと距離を取る。
「ランド様!!」
「大丈夫だ!しかし、さっきの爆発で確実に仕留めたはず......何故普通に立っていられる」
ランドは腕から流血させながら言う。
「クックック、獣人とお前達では身体の出来が違うんだよ」
キーヤはさっきの爆発で身体に大きく損傷を負っていた。
「その傷で立っていられるなんて......」
「クックック、それじゃこっちも本気を出させて貰おうかな」
キーヤはランドに手を向けた。
「何を?ん?」
ランドの身体はいきなり硬直する。
身体を動かそうとするが、身動き出来ない。
「な、何だ?身体が動かん!!」
「何をした貴様!!」
「クックック、俺の能力さ!手を向けた相手を金縛り状態に出来るのさ」
「そんな!触りもせずに手を向けただけでそんなことが......」
「世の中にゃそういう能力者のいるんだよ、天下の魔王軍の第1魔将も大したことねーな!」
キーヤはランドに向かって歩く。
しかし、ランドの前にサイが立ちはだかった。
「待てサイ!この男はお前では敵わん!」
「ランド様!いつまでも子ども扱いしないでください!」
サイはキーヤを睨む。
「サイ......」
「何だぁ?ランドの言う通り巨乳の姉ちゃんじゃ俺には敵わねーよ」
「黙れ、私も魔王軍の将軍!お前ぐらい私1人で十分だ!」
サイは手に氷柱を作成した。
「ハアッ!!」
サイはキーヤに氷柱を投げつける。
しかし、氷柱はキーヤに直撃するが、ビクともしない。
「なっ!?私の攻撃は全く効かないのか!?」
「だから無理だって」
キーヤは鉤爪を構え、サイに斬りかかる。
サイは間一髪避けた。
「ハアッ!!」
ザシュッ!!
サイは手に氷の刃を作り、キーヤを斬った。
氷の刃は直撃し、キーヤの脇腹が切れる。
「やったか!?」
「甘いんだよ!!」
ドスッ!!
しかし、キーヤは何事もなかったかのように蹴りを放ち、サイに直撃した。
「グッ!!」
サイは吹っ飛び、地面に転がった。
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