第111話 再会
その頃、レイカとサイはアルガンド城に向かって走っていた。
「カエデ殿、大丈夫でしょうか」
「大丈夫だよ、カエデを信じてる」
そう言って走るレイカの背中を見つめるサイ。
「この旅、思いがけない形で始まってしまいましたが、良かったのかも知れませんね」
「え?何が?」
「魔王様が成長なされたように感じます」
「え!?マジ!?胸の辺りとか!?」
「え、い、いえ......」
「そこまでです!!」
スタッ!!
すると、レイカとサイの前に何者かが着地した。
それは赤い剣を腰につけ、腕に白いスカーフを巻いた少年だった。
「お前は!?」
「魔王様、カードのエースです」
レイカとサイは身構える。
「お見知り置きいただき光栄です。魔王レイカと第4魔将サイですね」
「コイツがカードのエース......普通の男の子に見えるけど」
「......」
エースはレイカ達から目を反らす。
「どしたの?」
「い、いえ!!」
(くっ.....写真で見るより可愛い......な、何を思ってるんだ!!僕にはジョーカーさんが......)
エースはブンブン頭を振る。
「何でもありません!!ここから先は行かせませんよ!!」
ジャキッ!!
エースは剣を抜いた。
エースの剣は赤く光る。
「魔王様、ここは私に任せて先に行って下さい」
「いいの?サイちゃん」
「はい、この先にはジョーカーがいます。魔王様は力を温存して下さい」
「うん、わかった!!任せるよサイちゃん」
レイカはサイから離れ、走ろうとする。
しかし、その瞬間、上空から大きな声が聞こえてきた。
「待てーーーーーーーー!!!」
「へ?」
レイカ、サイ、エースは呆気に取られ、空を見上げる。
「うおおおおおおおおおおおお!!!」
ドゴォォォォォォォォン!!!
その瞬間、何かが地面に落下し、砂煙が上がった。
「え、え、え、何!?君何かやったの!?」
「い、いえ、何も......」
驚くレイカとエース。
「今の声......まさか」
サイは砂煙の方をじーっと見た。
砂煙は次第に晴れていく。
「ゲホゲホッ!!ギンのアホ!!死ぬところだぜ!!」
「いてて......だが上手くいった!!」
砂煙は完全に晴れる。
そこには服に付いた砂を払うロイとギンの姿があった。
「ったく!カエデと全く似てねー......な?」
ロイは顔を上げて周囲を見た。
そこにはポカンとしてロイを見つめるレイカが立っていた。
「魔王様!!やっと会えた!!」
「ロイロイ!!ロイロイなの!?」
「はい!!地獄から舞い戻って来ましたよ!!」
ロイはガッツポーズを見せる。
「バカ......カッコよくないっての」
レイカは涙を流した。
「ハハハ、相変わらず泣き虫ですね!!」
「泣き虫じゃないもん!だけど一体何でロイロイが上空から!?」
「飛行船から飛び降りてきたんです!!」
ロイが上空を指差す。
そこにはシルバーサーカス団の飛行船が飛んでいた。
「ギンがいきなり飛び降りろなんて言うから死ぬかと思ったぜ」
「フウカの風魔法で勢いを殺してもらったのさ」
「それでも結構な落下速度だったけどな!!」
「あれ......横にいるオジサンって」
レイカはギンをじーっと見る。
「昔お父様に襲いかかってきた変なオジサンじゃん!!」
レイカは7年前、自分の父親に襲いかかってきた謎の男を思い出した。
「スゲーなお嬢ちゃん覚えてるのか?」
「当たり前でしょ!僕は1回見たものは忘れないよ」
「ギンはカエデの親父なんですよ」
「うえーーーーー!?そうなの!?確かに顔とか髪色とか似てる!!」
ギンの顔と髪色を見ながら言うレイカ。
「すまんお嬢ちゃん、カエデはどこだ?」
「そ、そうだ!!後ろでカードのキング、クイーン、ジャックと戦ってる!!」
「わかった!ロイ、俺はカエデの援護に向かう!」
「わかった!!負けんなよ!!」
「師匠に言うセリフかそれは!!」
そう言うとギンはレイカ達が来た方向へ走っていった。
「ふう......」
ロイはサイの方を見た。
サイは優しく微笑む。
それに対してロイも笑って見せた。
「ロイくん、強くなったか?」
「はい、おかげさまで」
「フフ、そうか」
そしてロイはレイカの横を見る。
そこにはエースが立っていた。
「増援ですか......」
エースもロイを見つめた。
「よし!魔王様、サイさん、コイツは俺に任せてください!!」
「え、相手はカードのエースだよ!?ロイロイ1人じゃ......」
レイカの肩に手を乗せるサイ。
「大丈夫です。行きましょう魔王様」
そう言うサイの表情は安心したような表情をしている。
それを見て、レイカも頷いた。
「わかった、信じてるよロイロイ」
レイカとサイはエースとロイを尻目にアルガンド城目指して走り出した。
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