第106話 スカーレットの伝言
その頃、スマウで修業中のロイは......
「なかなかやるじゃねーか坊主」
「ハア......ハア......まだまだだよ」
俺は5メートルほど離れた位置のランプを光らせることが出来るようになっていた。
「ここまでで3週間ほどか、思ったより早いな」
そうギンは感心する。
「いや、時間が足らねぇ......早く強くならないと」
「まあ焦る気持ちはわかるが、こういうのは地道にだ。じゃあ今日からはランプ無しで空間を光らせる修業だ」
ギンはランプを持ち上げ、片付ける。
「よし、これもすぐに身に付けてやる......」
「要領はランプ有りの時と同じだ。ランプがない場所に同じように光を集めるイメージをしろ」
「わかった!!」
俺はまずは1メートルほど離れたところに集中する。
「集中だ......集中」
しかし、上手く行かず光が分散してしまう。
「くっ!!ダメか......」
俺は目を抑えて座り込む。
ランプがある時と無い時で集中のしやすさがまるで違うかった。
「まあ初めはそんなもんだ。魔力の使いすぎだ、今日はそれぐらいにしておけ」
そう言ってギンは倉庫から出ていった。
「ハア......ギンの言う通りだな、今日は魔法の修業は終わって基礎トレーニングでもするか」
俺はスマウ外れの森に来た。
魔法の修業は倉庫で行い、剣術や基礎トレーニングはこの森で行っていた。
今は重りの付いた棒を両手に抱え、振る練習をしている。
「ハア!!」
重りを振るう俺。
「ハア.....ハア......アンヘル、ディアブロよりかなり重い重りだが、まあまあ振れるようになってきたな」
そう言って汗を拭う俺。
色んな人から1本に切り替えるべきだと言われた俺だったが、やはり双剣にこだわり続けていた。
やっぱりカエデと魔王様にもらった剣だ、2つともしっかり使っていきたい。
腰に付けたアンヘル、ディアブロを見ながら思う俺。
「それに双剣の方がカッコよくてモテそうだしな!!ハハハ!!」
「それは使い手のよると思いますが」
「俺じゃモテねーってか!?」
「そうは言ってませんが......」
「何だよ全く......」
俺は素振りを再開する。
「ハア!!」
ブンッ!!
「もう少し肘を曲げて振りましょう」
「ハア......ハア......そうだな」
「......」
「って!!」
俺は横を見る。
そこには岩に座って俺を見るメイド服のスカーレットの姿があった。
「テ、テメー!!スカーレット!!」
「ご機嫌よう、ロイ様」
「ご機嫌ようじゃねーわ!!テメーまた突然現れやがって」
「突然現れてるつもりはありません」
スカーレットは岩から降りて、俺に近付いた。
そして、俺の事をジッと見る。
「な、何だよ?俺のタマ取りに来たわけ?」
「タマ?ロイ様のタマは価値があるのですか?」
スカーレットは視線を下にズラしながら言った。
「そっちのタマじゃねーよ!!出てきていきなり下ネタかましてんじゃねー!!」
「下ネタは嫌い......」
「っで何だよ?今修業中なんだが」
「ロイ様、前とは見違えるほど筋肉が付いた」
俺の身体を見ながら言うスカーレット。
「あ、ああ......お前に基礎筋力が足りないって言われてボコボコにされたからな!」
「......」
「それで?用があって来たんじゃないのか?」
「用が無かったら来たらダメですか?」
スカーレットは俯きながら言う。
用がないのに来た?
コ、コイツ......まさか俺に気が?
いやー、俺も罪な男だな。
「まあ用があって来たのですが」
「用あるのかよ!!」
「ジョークです、可愛いジョークを言える女子はモテると聞きました」
「全然意味わかんねーよ!お前みたいな無表情のデカ女がジョークとか言っても怖いって」
「デカいのと無表情なのは遺伝です」
スカーレットの会話について行けない俺。
何考えてるか全然わかんねー!
「っで?何なんだよ用って」
「ロイ様に報告があります」
コホンと一息入れるスカーレット。
すると、突然衝撃的な話をしだした。
「魔王城が帝国軍のカードに襲撃されました。そして人質を取られ、魔王レイカ様とカエデ様とサイ様がアルガンド城へ向かっています」
無表情でそう言うスカーレット。
「へ?」
「以上です、では」
スカーレットは後ろを向き、消えようとする。
「待て待て待て待て!!」
俺は咄嗟にスカーレットの肩を掴む。
しかし、スカーレットは瞬間移動し、俺から距離を取った。
「うわっ!!」
俺はスカーレットが急に消えたので転倒した。
「お前!突然消えるなよ!!」
「男の人に触られるのは苦手......」
「そんなことよりどういうことなんだよ!?魔王城が襲撃された!?魔王様達がアルガンド城に向かってるってどういうことだよ!!」
「少しは自分で考えて、そんなだからタマ小さいの」
「う、うっせぇな!!わかんねーだろ突然そんなこと言われても!!」
「魔王達が留守の間に魔王城がカードに襲撃されました。魔王城はほぼ壊滅、第3魔将のゴラド様を始め、何人かが帝国軍の人質に取られ、それを取り戻しにレイカ様達が向かわれたということです」
スカーレットは無表情で言うのに対し、ロイは驚愕の表情を見せた。
「ほ、本当なのか!?」
「信じるも信じないも貴方次第です。魔王城を襲撃したカードのジョーカーはロイ様の妹のリア・レンズです」
スカーレットはそれも無表情で言う。
「へ?」
「これで全て伝えました。後はご自分で判断して下さい」
そう言ってスカーレットは消えた。
「おおい!!またアイツ突然消えやがって!!」
俺は困惑していた。
魔王城が襲撃され、人質の解放のために魔王様達がアルガンド城へ向かっていて、それで帝国軍の最強のカードのジョーカーは引っ込み思案の妹のリアである。
俄に信じがたい話だが、スカーレットがわざわざ嘘を言うためにこんなところまで来たとは思えない。
「ク、クソッ!!どうなってやがんだ!!」
バシッ!!
俺は近くの木を殴った。
これが本当なら魔王様は......それにリアも......
俺は振り返った。
駄目だ!!悩んでるのは性に合わない!!
俺は走ってシルバーサーカス団のテントに戻った。
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