第101話 帝国軍のバスターズ
それからバスターズ達は宴会をすることとなり、大広間に集まっていた。
「お姉ちゃん酒注いでくれー!」
「はーい!」
女将とカエデは料理を作り、レイカとリコ、コアネールが接客していた。
「どぞどぞ!!」
レイカはちょこんとバスターズの男の隣に正座し、お酒を注ぐ。
「ありがとよ!黒髪の可愛い仲居さん」
「うん!遠征大変だね!お疲れ様!!」
レイカは笑顔で言う。
「「「か、可愛い.....」」」
それを見てバスターズの男達は和み、見惚れていた。
「レイカちゃん結構接客得意ですね......」
「あの無邪気な笑顔は癒やされますわよね、本当は結構腹黒いですけど」
笑顔で接客するレイカを見ながら言うリコとコアネール。
「オーッホッホ!コアネールさん、サボってないでお酌しなさいな!!」
1番上座に座るロゼーリアがお猪口を差し出しながら言う。
「じ、自分で入れるですの!!」
「ハア?客に向かってそんな態度が許されるんですかぁ?」
酔っ払いニヤニヤしながら言うロゼーリア。
「チッ!!」
コアネールは仕方なくロゼーリアのお猪口に酒を注ぐ。
それを眺めて、コアネールさんの舌打ち初めて見たと顔を引きづらせるリコ。
「ハッハッハ!!姫も今日は上機嫌ですな!!」
「当たり前ですわ、やっと面倒臭い雪山遠征が終わったんですもの」
トップとロゼーリアは笑いながら話す。
「ふーん、雪山遠征って何でやってるの?」
それを聞いたレイカは近くにいたバスターズの女に話しかける。
「んー?そうねお嬢ちゃん、今は帝国軍の東イアスと魔王軍の西イアスに分断されてるのはわかるでしょ?」
「うん、知ってる」
「だから魔王軍が北方から攻めてきたときを想定した訓練よ、雪山から帝都ニューペルシアルに攻めてきたときにこのルートを通るのよ」
「ふーん、僕だったら南のルナイ川を伝って攻めるけどね」
「え?」
「だって魔王城からサンダトルトを経由して雪山に入って下山する訳でしょ?そうなると雪山が得意なモンスターだけで行くか物資を十分に用意して行く必要がある。ルナイ川ルートだと渓谷をいくつか抜けないといけないけど、土魔法や水魔法を使えるモンスターがいれば容易に突破出来るよね」
「けどそっちのルートだと帝国軍第3の都市リバーゴッツがある。そこで迎え撃たれる訳だからそっちのルートは選ばないんじゃない?」
「いやでもルナイ川からリバーゴッツ渓谷側に迂回して攻めれば上手から奇襲をかけられる。その上リバーゴッツの兵舎は北側にある訳だからこっちから奇襲をかければ守りは困難、思ったより簡単に落とせると思うけどね」
「なるほど......」
「あ......」
魔王である自分が敵に情報を与えてしまっていることに気が付くレイカ。
「な、なーんて!!そう上手くいかないよね!!」
「凄くいいわねそれ」
「い、いや!適当に言っただけだから気にしないでよお姉さん」
「お嬢ちゃんバスターズに入らない?」
バスターズの女は微笑みながらそう言った。
「ええ!?」
「貴方なら良い参謀になれると思うわ」
そう話していると、隣のバスターズの男が声をかけてくる。
「凄いですね、シナモはあのサンダトルト大学を首席で卒業してバスターズの参謀になった才女なんですよ。そのシナモに認められるなんて」
「止めて下さいよサイガ副隊長」
そうほろ酔い状態で話すバスターズの2人。
「へー、お姉さん参謀なんだ。っでお兄さんがバスターズの副隊長なんだね」
レイカはシナモ、サイガと呼ばれた2人を見ながら言う。
「そうよ!サイガ副隊長はキャプテン・トップ隊長に次ぐ実力者なんだから!次の隊長はサイガ副隊長なんだよ」
「止めなさいシナモ、私はキャプテン・トップに憧れてバスターズに入りました。キャプテン・トップが隊長でないバスターズなどバスターズではありませんから」
「ふーん、バスターズの目的は魔王討伐なんでしょ?みんな魔王より強いの?」
レイカは笑顔で聞く。
「うーん、私は参謀だから勝てないと思うけど、キャプテン・トップとサイガ副隊長なら勝てると思うわよ」
「私はわかりません、ただキャプテン・トップは世界最強です。魔王やカードのジョーカーより強い」
「そっか、あの人そんなに強いんだね」
レイカは少し離れた席に座るトップを見る。
その瞬間、トップと目があった。
その時、物凄いプレッシャーがレイカを襲う。
(な、なんだこのプレッシャーは......)
思わずレイカは目を反らした。
「キャプテン!そんな怖い目で仲居さんを見ないで下さい!!」
シナモはトップを注意する。
「ハッハッハ!!失敬!あまりに綺麗な目だったもので」
そう言って笑うトップ。
そのトップを冷や汗を掻きながら横目で見るレイカ。
(魔王の僕が見ただけであんなにプレッシャーを感じるなんて......あの男只者じゃない)
レイカは胸を抑えて落ち着かせる。
(キャプテン・トップ、確か全く経歴不明で突然ロゼーリア皇女の側近として表舞台に現れた謎の存在。出身、年齢、全てが魔王軍のデータにもない)
冷や汗を拭うレイカ。
「黒髪の仲居さーん、お酌してくれー」
「あ!う、うん!ちょっと待っててね!」
それから数時間、宴会は続き、お開きとなった。
「黒髪の仲居さん、ありがとね、みんな癒やされたと思うわ」
「若いのに気が利いて凄いですね」
去り際にシナモとサイガがそう言う。
「うん!僕も楽しかったよ!お仕事頑張ってね!シナモン!サイガー!」
レイカがそう言うと手を振りながらシナモとサイガは去っていった。
「オーッホッホ!コアネールさん、また来ますわ」
ロゼーリアはコアネールのオデコをポンポンする。
「2度と来ないで下さい!!」
「あら怖い怖い!!これだから生活に余裕がない人は怖いですわ!オーッホッホ!!」
そう言ってロゼーリアは旅館の奥へ歩いていく。
「あの性悪女......」
「コアネール王女、姫が失礼しました」
またトップがコアネールに謝る。
「トップさんは関係ございませんわ!!」
「いやはや、皆さん今日はありがとうございました楽しい宴会でした」
トップはレイカ達に頭を下げる。
「いやいや、楽しんで貰えて良かったよ」
「ハッハッハ!!またお会いする機会あるかと思いますが、よろしく頼みます」
そう言って後ろを向き、去っていくトップ。
「次は敵同士かも知れませんが!!」
そう言うと旅館の奥に消えていったトップ。
「い、今のはどういうことでしょうか?」
「あの人僕が魔王ってこと気が付いていたのかも......」
「どうしてですの!?レイカちゃんは顔公開してませんのに......」
「わからない、けどあの人は並々ならぬ強さを感じる。世界最強と呼ばれてる理由もわかるよ」
そう言っていると、女将とカエデが歩いてきた。
「お疲れ様レイカ、リコ、コアネール」
「あ!カエデ!お疲れ様」
「皆さんお疲れ様でした。今日の業務はこれで終了です。助かりました」
女将は笑顔で言った。
「んーん!僕達も楽しかったよ女将さん!」
「フフフ、ずっと働いてもらいたいぐらいだわ。ではお礼にこれから温泉は自由に入って頂いて構いませんので、明日の朝までゆっくりしていってください」
「え!?いいの!?」
「はい、頑張って下さいましたから」
「「「「やったー!!ありがとう女将!!」」」」
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