ぼんやり月とわたし
ぼんやり月がわたしの目の前に現れた
けど、わたしが気づかなかっただけのことで
たぶん、もっと早く
わたしの前に現れていたんだろう
そして、わたしの表情を伺っていたのだろう
しばらく、ぼんやりと月を眺めることにした
何かを忘れたくて、この場所に来たわけではないけど
なぜだか、とても落ち着いていたから
この、ぼんやりとした月を
どこかに収めておきたいと思った
ちょうど川辺に立っていたから
その月は多少は形を変えて
わたしの側で居続けてくれた
おだやかな川の流れの端で
いま、何か語ったら
答えてくれるかしら
たぶん、それは無理なことだろう
わたしがもっと本気を出せば
もしかしたら、答えてくれるかもしれない
だけど、いまのわたしは
特別な思いがそれほどないから
しばらくは形を整えた月に励ましてもらおう