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第2話 おっさん、アシスタントの謎を解こうとする

 アルマは腕を振ったり、ジャンプしたりして体の様子を確かめた。


「変な所はあらへんのやけど。ステータスは使えまへん。スキルも無理やわ」


 イルカの助手の悪夢が頭をよぎった。

 お前を消す方法とか言わないよ。


「そうか、人間ではないからかな」


 燐光が薄っすらと出ているのを人間とは言い難い。

 じゃ何かというのはこれから調べよう。


「お前さん一人ではなかったのかい」


 動物に乗せてくれた男の言葉が分かる。

 悪夢だと思ってごめん。

 役に立つ助手(アシスタント)だ。

 翻訳機の機能があるとは思いもよらなかった。


「彼女はスキルで出したんだ」

「ほう、召喚スキルの一種かね」


 良かった会話が通じる。

 この調子で会話すれば、言葉を覚えるのも楽だ。


「まあそんなところだ」

「べっぴんさんは何人いても良い。お嬢さん今幾つかな」

「うちは22歳や」

「俺は50ぐらいかな。肉体年齢は30ぐらいだがな。結婚するにはちと歳が離れているけど、まあいいだろ」


 異世界にいると時間の進み方が違う。

 おまけにレベルが上がると老化が止まる。

 俺も俺の正確な年齢は分からない。


「誰もあんたの歳なんて聞いてない」

「少し怒った顔も可愛いな」


「仲がいいな。そうだ、もう一度水が出せるなら、売ってもらいたいんだが」

「明日にならないと無理だ」

「美味い話はないな」

「そうだな。俺はムニだ」

「うちはアルマ」

「アタンだ」


「よろしくな。ところで、針があったら貸してくれないか」

「今頃になって服の穴を繕うのか。女の目があると違うな」

「まあな」

「えーと、針はどこだったかな確かここに入れておいたはずだがな」


 アタンは荷物をひとしきり漁ってから糸のついた針を寄越した。


「アタン、少し席を外してくれるか。アルマとは夫婦なんだ。久しぶりに会ったんだ分かるだろ」

「こりゃ、気が利かなくてすまんな」


 アタンが少し離れて背を向けた。


「アルマ、指を出してくれ」


 俺はアルマの指を針で突いた。


「誰が夫婦や。痛っ、何すんねん」

「おっ、血が出ない」

「そう言うたら痛ない」

「感覚はあるんだよな」

「ある。変な感じやわ。まるで人形の中に入ったみたいやわ」


 この体はアルマの体という訳ではないのは何となく気づいてた。

 なぜなら、世界の管理者によれば、異世界間の移動は物凄いエネルギーが要るんだとか。

 それなんで、俺は魂が移動するという事になっている。

 そして、異世界毎にアバターが作られる。


 アルマもアバターかと思ったがステータスが使えないのはおかしい。

 まあ、ロボットみたいな物なんだろうな。


「ところでムニ商会の仕入れはどうなってる」

「あれっ、変やな。仕入先が分からへんのがいくつもある」


「それはな。商売の神である俺が、妻であるアルマに商品を渡していたんだ」

「嘘や。信じへんよ」

「でも、繋がりがあるのは分かっただろう」

「それは」

「何てな。神というのは嘘だ。だが、夫婦だと言うのは本当だ。なぁアルマ、思い出してくれよ」

「分からへん。でもうちが召喚獣みたいになっとるというのは分かる。仕事を手伝ってやってもええよ」

「そうか。助かる」


 協力を取り付けただけでよしとするか。


「済まないが、これからも乗せていってくれるか」


 俺はアタンに針を返して問い掛けた。


「ああ、旅は道連れじゃ」

「魔石を持ってないか。あったら貸してくれ」

「いいだろほれ」


 アタンは特大の魔石を貸してくれた。

 この大きさだと10万魔力は入るだろう。

 俺は余っている魔力を魔石に移した。


「これを買うとしたらいくらだ」

「そうさな、金貨1枚ぐらいか」

「どれぐらいの価値なんだ」

「剣1本というところじゃな」


 安いのか高いのかは分からないが、ちょっと高い消耗品と同じと思っておけばいいか。

 10万円ぐらいかな。

 アタンが敷物を敷いて横になったので、俺とアルマも砂の上に横たわる。

 砂はまだ熱いけど夜になると冷えるんだろうな。


 アルマが眠ったのでぽっぺを突いてみた。

 アルマの体はひんやりして気持ちいい。

 どうなっているのか予想がついた。


 アルマの体は前の世界のアンデッドの体を元に作っているんだろう。

 前の世界で俺はアンデッドになって、最終的に高密度の魔力の塊になった。

 気が狂いそうになってその体の処分を世界の管理者に頼んだ。

 それを再利用している訳だ。

 高密度の魔力の体を制限なしに処分すると大爆発するのだろう。

 とにかくその再利用の体にアルマの魂が入っているとみた。


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― 新着の感想 ―
[一言] じっくりでも良いので更新宜しく。
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