第16話 おっさん、お宝を探す
「はい、配給はひとり段ボール4枚に、小麦粉1袋だよ。貰ったら魔石に魔力入れるのを忘れずに」
俺はオアシスの広場で配給を行っていた。
段ボール4枚、400円×100人=4万魔力。
小麦粉1袋、100円×100人=1万魔力。
そして、水。
ポリタンクが高いから100均の400円ので済ます事にする。
20リットルポリタンク、400円×10=4千魔力。
水道水1リットル、4円×200リットル水=8百魔力。
そして、農具。
農具1個、10000円×4個=4万魔力。
締めて9万4千8百魔力。
余った魔力は何かあった時に使うとしよう。
「どう、やっていけそう?」
アズリが様子を見に来た。
「なんとかな。日にちが経つほど充実してくるから、そのうちに文句も出なくなるだろう」
家をなんとかしたいが、現状では無理。
全員の魔力を集めても10万円分ぐらいにしかならない。
それで100人分は無理だ。
放置された畑に残された作物があるから、当分は飢え死にしないだろう。
サンドシャークの肉も余っているし。
昨日、解体したサンドシャークの余った肉は干物に加工中だ。
アイテムボックスにいれておけば腐らないが、これから誰かが遠征に行ったりするだろう。
保存食は作っておきたい。
さて、魔力通販スキルを使い終わると暇だ。
俺はレベル1だし、狩りには同行できない。
足手まといだからな。
農作業も常識と知識が足りない。
ここら辺の作物の育てかたなんて知る訳がない。
「エリナ、頼むぞ。お前の能力だけが頼りだ」
「見てなさい。私のチートが炸裂するわよ」
鑑定能力を発揮するのはお宝だな。
「宝探しするぞ」
「やりましょ」
俺は大きそうな家を見つけて中に入った。
中は物色された跡がある。
普通に探したのでは駄目か。
「宝のある場所とか分からないか」
「うーん、駄目みたい。固有の名前でないと探せないわ。えーと、こうしたらどうかしら。この家で一番価値のある物を探すのよ」
「おお、エリナ凄いなやってみろよ」
「一番価値の高い物が分かるわ。えっへん、どう見直した。こっちよ」
「見直したよ。エリナ凄いな」
連れてこられたのは、厨房の土間。
掘るのか。
掘りますとも。
棒をスコップ代わりに土を掘った。
一度掘られた場所なので土は柔らかい。
棒が堅い感触に当たった。
慎重に掘り出すと鍋だった。
中に金貨とかは入ってない。
あったのは調理器具と食器。
買えば高いんだろうけど、お宝なのか。
「あてが外れたって顔しているけど、それって銀製だから」
俺の呆れたような視線を見てエリナが言った。
銀って事は高いのか。
「エリナ、素晴らしいぞ。この調子でいこう」
「任せてよ」
それから、色んな家でお宝を発掘。
埋められていたのは絵画が多かった。
元の持ち主は持ち出せなかったと見た。
金目の物は見つかったが、交易でもしない限り換金は望めない。
「アズリ、お宝を回収してきた」
「それは良かったわね。さっそく苦情よ。飯が不味いって言ってきたわ」
「仕方ない。余った魔力で胡椒と唐辛子とマヨネーズとカレー粉を買おう。ただ、量が少ないから喧嘩しないように上手くやってくれ」
アズリは見た事のない調味料に興味津々だ。
「サラダサボテンにはこれだな。マヨネーズを付けると美味いだろう。食ってみろ」
アズリはマヨネーズの掛かったサボテンを恐る恐る口に入れた。
「うわー、幸せ。なにこのコク。滑らかさ。これは何で出来ているの」
「酢と油と卵の黄身と塩だな。少し唐辛子や胡椒やカレー粉を混ぜると美味いぞ」
アズリは少量のマヨネーズを小皿に取って胡椒を一つまみ入れてスプーンでかき混ぜた。
「何これ、最強ね。美味すぎよ。唐辛子やカレー粉も美味いのでしょうね」
「そりゃね」
一通り試してから、アズリは。
「明日の魔力は全部マヨネーズ。決定よ」
「心配するな。マヨネーズの魔力は少ない。1本160魔力ぐらいだ」
「これが安いっての。どんな価値観よ。マヨネーズ様に対する冒涜だわ」
「マヨラー爆誕ね」
「エリナ言ってやるなよ。マヨラーは多いんだぞ」
「マヨラー、なんて良い響き。私はマヨラーになるわ。こうしちゃいられない。布教しないと。ご飯に不満を持つ輩もこれで黙らせることが出来るわ」
マヨネーズ10本、業務用カレー粉1缶、業務用胡椒1缶、唐辛子を5袋を出して魔力は打ち止めになった。
10人に対してマヨネーズ500グラム1本で足りるよな。
足りると思いたい。