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第12話 おっさん、流砂地帯を抜ける

「アルマ、サラクオアシスへの方向は合っているか」


 アルマから矢印が出て方向を示した。

 進んでいる方向とは若干のずれがある。

 実際は道があるから最短距離ではないからか。


「ずれているやん」

「分かっている。理由もな」


「みんな気を付けて。この先は流砂地帯よ」


 アズリから警告が飛んだ。

 所々に石塔が設置してある。

 これを目印に移動するんだな。


「うわぁ、助けてくれ」


 先頭を歩いている男が砂に飲み込まれた。

 動くと更に砂に飲まれる為、手を目一杯広げ身を任せ砂に浮かぶ体勢をとる。


「魔力をくれ。ロープを出して助ける」


 俺は魔石に魔力を充填してもらい、魔力通販でロープを買った。

 砂に嵌った男にロープを投げてやる。


「ふぅ、死ぬかと思ったぜ」

「運が良かったな。万能スキルの兄さんがいなければお陀仏だ」


「どうしよう。流砂の地形が変わっている」


 アズリが震える声で不安そうだ。


「アズリ、こういう時は『方策はある任せとけ』って言うんだ。不安を見せたらいけない」

「そうよね。弱気になったらいけないわ」


 魔力通販で100均の鉄アレイを買ってロープの先につけた。

 それを投げて地面の様子を確かめながら進む。


「もっとええ方法があるわ」


 アルマがそう言うとためらいめなく歩き始めた。


「おい、流砂に嵌るぞ」


 アルマは突如、砂に足を沈ませた。

 言わんこっちゃない。


「今、ロープを投げる」

「あほ。助手(アシスタント)を解除すんねん」


 俺はスキルを解除した。

 消えるアルマ。


助手(アシスタント)、来いアルマ」


 俺の脇に現れるアルマ。

 確かにこの方法なら面倒は少ない。

 俺達はなんとか流砂地帯を抜けた。


「みんな、お昼ごはんにしましょう」


 アズリが呼び掛けると、流砂を抜けてほっとした一同はそれに従った。

 サンドクラブが近くにいたので思いもかけないご馳走になった。


「このスイドウスイってのは、腹も壊さないし、飲み慣れれば気にならないな」

「ちげぇねぇ」


 俺は魔力通販で砂糖と塩を買って水に混ぜて提供した。


「この味のついた水は良いねぇ。疲れが飛ぶようだ」


 なんちゃってスポーツ飲料は好評だ。

 更に快適にする為に、氷を魔力通販で出したいところだが我慢だ。

 贅沢は後でもできる。


「みんな、後ひと踏ん張りよ。ここからは難所はもうないわ。サンドシャーク以外はね。でも心配しないで、ムニに秘策があるそうよ」

「よっしゃ、飯も食ったし頑張ろうぜ」

「おう」


 討伐隊の表情は明るい。

 そして、アズリの銀髪が風に揺られた。

 アズリは髪を抑えると俺に耳打ちする。


「不味いわ。風が出ている。砂嵐が来るかも」

「魔力のあまりはまだある。ロープをありったけ買おう。体を結ぶんだ」


「みんな聞いて、砂嵐が来るかも。ロープで結べば、はぐれる事はないわ」

「ちくしょう、ついてないな」

「よせやい。今日はモンスターに遭遇してないだろ。きっと砂嵐のせいだぜ。悪い事があれば、良いこともある」


 そう言えば今日はモンスターに遭遇してないな。

 ロープで体を結び、俺達は列になって進み始める。

 風は強くなり段々と風の砂が混じるようになった。


 方向を定めないと。

 先頭はアルマだ。

 頼むぞアルマ。


 アルマのビーコン機能だけが頼りだ。

 ほとんど視界が無い中を進む事一時間、砂嵐が止んだ。


 だが、遠くにモンスターの姿が見えた。

 あれはサンドウルフの群れだ。


「勘弁してくれよ。砂嵐を抜けたばかりなんだぜ」

「いい物がある。キシリトール飴だ。こいつを食わせれば良い」


 俺は魔力通販でキシリトール飴を出してやった。

 俺達は方陣を組んだ。

 サンドウルフは用心して取り囲んでいる。


「ほら、美味いぞ」


 俺は干し肉に飴を付けたのを投げた。

 よし食いついた。


 男達も真似して投げ始めた。


「なかなか死なないな」

「そろそろだよ」


 一時間ほど経った時、サンドウルフの一頭が倒れた。

 後を追うようにバタバタと倒れる。

 キシリトールを食ってないサンドウルフを倒し、いよいよサラクオアシスへの障害は一つになった。


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