23 紳士クンは男の娘・・・・・・否、男の子!
ところで一方、保健室の廊下で待機していた令と紳士クンも、中での異変に気づいていた。
そして紳士クンは今すぐにでも、保健室に乗り込もうかという勢いである。
だがそれを令が止めていた。
「離してください令お姉様!このままじゃお姉ちゃんが!」
自分の右腕を掴んで離さない令に、紳士クンは小声で訴えた。
それに対して令は、ニコやかな表情を保ちながらも、至って真剣な口調で言った。
「分かっているわ、だからこそ冷静になるのよ。
こういう状況で大切なのは、どんな危険にも立ち向かう勇気と、
あらゆる物事を的確に判断する冷静さ。
今の紳士ちゃんには、あの盗撮犯からナッちゃんを助ける勇気はあるわよね?」
「勿論です!」
「いい答えだわ。じゃあ次に必要なのは、冷静な判断力。
私が思うにあの犯人は、廊下に居る私達までは気が回っていない。
つまりナッちゃんを助けられるかどうかは、私達にかかっているの。
だから私に、協力してくれる?」
「はい!それで、ボクはどうすればいいんですか?」
「作戦はこうよ。今から私と紳士ちゃんが同時に保健室に乗り込んで、
一人がナッちゃんを犯人から引き離し、もう一人が犯人を押さえ込む」
「だったらボクが犯人を押さえ込みます!」
「大丈夫?犯人は凶器を持っているし、下手をすれば紳士ちゃんも大怪我しちゃうかも」
「だからこそです!お姉ちゃんも助けないといけませんが、
令お姉さまも危険な目に合わせる訳にはいきません!」
紳士クンが真剣な顔でそう言うと、令は嬉しそうにニッコリ微笑んだ。
「紳士ちゃんはやっぱり男の子なのね。じゃあ犯人は紳士ちゃんに任せるわね。
ただし、くれぐれも気をつけるのよ?」
「分かりました!」
そう言って頷きあった紳士クンと令は、息を潜めて保健室の入口に忍び寄った。
そして令が、
「行くわよ!」
と声を上げると同時に保健室の引き戸を開け放ち、中に乗り込んだ!




