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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンの危機
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15 左の目尻は動かない

それに対する紳士クンの答えはこうだった。

 「勿論ですよ、いやだなぁ」

 「・・・・・・」

 その言葉に太刀は再び黙り、ある一点に視線を集中させた。

その一点とは、紳士クンの左の目尻である。

撫子は嘘をつく時、左の目尻がひきつるクセがある。

しかし目の前の彼女は、左の目尻はピクリとも動いていない。

それは彼女が撫子ではなく紳士クンだからなのだが、

これを太刀はどう判断するか。

目の前の彼女は本当に撫子で、その撫子が本当の事を言っていると判断するのか、

それとも、目の前の彼女自体が撫子ではないと判断するのか。

・・・・・・そんな中、太刀が下した判断はこれだった。

 「早く来い撫子(・・)。打ち合わせを始めるぞ」

 そう言って太刀は、踵を返して歩き出した。

それはつまり、太刀が紳士クンを撫子だと判断したという事だった。

それを悟った紳士クンは、太刀の背後でホッと胸を撫で下ろした。

実に堂々とした演技だったが、内心かなり緊張していたのだ。

そんな紳士クンの肩にそっと手を置いた令が、ウインクをしながら言った。

 「それじゃあ行きましょうか、ナッちゃん」

 「はい・・・・・・」

 かくして令の作戦は成功し、紳士クンは撫子として生徒会室へ。

そして撫子は紳士クンとして一年菫(すみれ)組の教室へと向かった。

しかしこれで万事解決ではない事は、紳士クンも撫子も分かっている。

そんな中唯一令だけが、やけに楽しそうな笑みを浮かべているのだった。



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