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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンの危機
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13 いい考えというヤツ

翌日の朝、紳士クンと撫子と令の三人は、一緒にエシオニア学園の正門をくぐった。

 そして令は、撫子(・・)の右腕に自分の左腕を組みながら言った。

 「ウフフ♡今日もいい天気ね、乙子(・・)ちゃん(・・・)♡」

 それに対して撫子(・・)は、ぎこちない口調でこう返す。

 「や、やめてください令お姉様。ボク(・・)、恥ずかしいです・・・・・・」

 その撫子に紳士クン(・・・・)が、これまたぎこちない口調で言った。

 「お、乙子(・・)ったら、何顔を赤くしている、のよー」

 それに対して撫子が、再びぎこちなく答える。

 「そ、そんな事ないよぅ。お、おね、お姉ちゃん」

 このやりとりから分かるように、今日の紳士クンは撫子で、

一方の撫子は、紳士クンなのだった。

 これが昨日令が言っていた、いい考えというやつだった。

 紳士クンと撫子は、性格こそ正反対だが、見た目と声はそっくりな姉弟である。

中学時代は紳士クンの方が背が小さかったが、

最近になって二人の体格はほぼ同じになった。

そこで令が思いついたのが、この作戦である。

名づけて、

 『紳士クンとナッちゃん、今日だけ中身入れ替わっちゃいなさい大作戦』

 語呂が悪い上に、大作戦というほど大した作戦でもないのだが、

要するに今日抜き打ちで行われる身体検査を、

紳士クンに(ふん)した撫子に受けさせようというのである。

念の為に記しておくが、撫子は女である。

なので撫子が紳士クンになりすまして身体検査を受ければ、

紳士クンが男だとバレずに済む。

紳士クンのクラスは今日の一時間目に体育の授業があり、

その体育の時間に抜き打ちの身体検査があるので、

それが終わるまでの間、入れ替わっておこうというのだ。

 紳士クンと撫子は、ここに来る前に、お互いの言葉遣いや振る舞い方、

親しい友達の名前と顔、話題等、入れ替わっている事が周りにバレないよう、

入念に打ち合わせをした。

しかしいくら見た目がそっくりの姉弟とはいえ、

いつもと全く違う人格を演じるのはなかなかに難しく、

二人ともやたらとぎこちなくなってしまっているのだった。



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