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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンの危機
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10 伝わらなかった愛情

「ところが不思議な事に、小学校に入学した辺りから、

あの子は女の子の服を着るのを嫌がるようになったの」

 「何で不思議と思うんですか⁉男なら大体それが普通の反応です!」

 「でも私はあの子の為に、無理矢理女の子の服を着せ続けたわ」

 「弟さんの為じゃないですよね?令お姉さまの為ですよね?」

 「そして私はあの子を、エシオニア学園の女子部に入学させる決心をした」

 「弟さんの決心はなかったんですか?」

 「・・・・・・それが、あの子は中学三年になったある日、

イギリスの男子校に留学すると言い出したの。

私、どうしてそんな事を言うのか、皆目(かいもく)見当がつかなかった」

 「考えるまでもなく分かると思いますけど・・・・・・」

 「そしてあの子は中学を卒業すると同時に、イギリスへと旅立ってしまった。

あれ程あの子の事を愛していた私を、日本に残して・・・・・・」

 「別れのシーンですけど、全然悲しいと思えないです」

 「それからの私は、毎日悲しみに暮れたわ」

 「あんまり同情する気になれないんですけど」

 「そんなある日、私はあなたと出会ったの」

 「何か嫌なタイミングですね・・・・・・」

 「初めてあなたを見た時、私は直感で悟ったわ。

『神様は、私に令奈ちゃんの代わりの子を授けてくださったのだわ』と」

 「神様は絶対そんなつもりじゃなかったと思います」

 「そこで私は新たな決心をしたの。

『令奈ちゃんは遠くの国へ行ってしまったけど、

その代わりに紳士ちゃんを、エシオニア学園の女子部に入学させて、

立派なレディーに育てよう』って。

だから私は紳士ちゃんを、エシオニア学園の女子部に入学させたの。

これが本当の理由よ。分かって、もらえた?」

 令のその真剣な言葉に、紳士クンもまた、真剣に答えた。

 「分かりましたけど、全く納得できません」



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