7 証拠品を押収
紳士クンの疑問の声に構わず、令はそう言って頷き、
撫子とともに紳士クンの部屋をあさり始めた。
そしてそれを見た紳士クンは露骨に慌てた。
「ちょ、ちょっとちょっと⁉何するんですか二人とも⁉」
そう言いながら必死に二人を止めようとするが、
撫子と令は、紳士クンの机の引き出しやベッドの布団の中、
本棚、クローゼットなど、あらゆる場所をあさりまくった。
しかしそれらの場所に目的の物はなく、撫子と令は最後に、
紳士クンのベッドの下に目を付けた。
「物を隠せる場所は、あとはここだけね」
「そうですね。私もここが一番怪しいと思っていました」
紳士クンのベッドの下を真剣な眼差しで見詰めながら、令と撫子は言った。
すると紳士クンは、さっきまでとは明らかに違ううろたえ方を見せた。
「うわわわっ⁉そ、そこはダメだよ!
何があっても絶対ダメ!何も変な物なんて隠してないから!」
「それだけ取り乱すという事は、ここに例の物があるという事ね」
「誤魔化そうったってダメなんだからね」
令と撫子はそう言い、しゃがみこんでベッドの下に手を伸ばそうとした。
するとその手を紳士クンが、
「やめてーっ!」
と叫びながら掴もうとした。
それに対して撫子は、
「往生際が悪いわよ紳士!いい加減カンネンしなさい!」
と声を上げて紳士クンに飛び掛り、彼を羽交い絞めにした。
そして撫子が紳士クンの動きを封じた隙に、令はベッドの下に手を伸ばした。
そして何かをみつけた様子で
「あっ!」と声を上げ、
「見つけたわよ!証拠の品!」
と言ってベッドの下にあったそれを取り出し、頭の上に掲げた。
それを見た紳士クンは、
「あぁ、あ・・・・・・」
と、全てを諦めたような声を漏らし、一方の撫子は、
「えええぇっ⁉」
と声を上げ、顔を赤くした。
その撫子の表情が予想とは違った令は、目を丸くして尋ねた。
「あれ?どうしたのナッちゃん?」
それに対する撫子の答えはこうだった。
「令お姉様、それ、違います」
「え?」
撫子の言葉に、令は頭上に掲げたそれを見やった。
すると、何とそれは、
エロ本だった。




