6 犯人確保
一方その頃、既に自宅に戻っていた紳士クンは、
自分の部屋で机に向かい、宿題をこなしていた。
そして一通り終えて時計に目をやると、もう六時半を過ぎようとしていた。
しかし撫子はまだ帰って来ていない。
(お姉ちゃん遅いなぁ。生徒会の仕事が長引いてるのかな?)
そんな事を考えながら、終わった宿題を片付けようとしていた、その時だった。
バァン!バタン!
と、家の玄関の扉が、激しく開いて閉まる音がした。
そしてドタドタとやかましい足音が、紳士クンの居る二階の部屋に近づいて来る。
やがてその足音は紳士クンの部屋の前で止まり、
(な、何なの?)
と紳士クンが思う間もなく、部屋の扉が乱暴に開け放たれた。
そしてそこから現れたのは、撫子と令であった。
「お姉ちゃん、と、令お姉様?どうしてここに?」
そう問いかける紳士クンに構わず、撫子と令はそのまま二人同時に紳士クンに飛び掛った。
「ええぇっ⁉」
突然の出来事に驚きの声を上げる紳士クン。
そして飛び掛られた勢いで、紳士クンは椅子ごと後ろにすっ転んだ。
「あ痛ぁっ⁉」
床に背中を打ちつけた紳士クンの上に、更に撫子と令が重なるように覆い被さった。
(重い・・・・・・)
紳士クンは率直にそう思ったが、そんな事に構わず撫子と令は言った。
「あんたって子は!何て事をしてくれたの!」
「え?え?何が?」
姉の言葉に首を傾げる紳士クン。
すると撫子の上に乗っかっている令が、悲しそうな顔で訴えた。
「紳士ちゃん!私はね、紳士ちゃんにそんな事をさせる為に、
うちの学園に入学させたんじゃないのよ⁉」
「え?え?さっきから二人とも、何の話をしてるんですか?
ボク、さっぱり分からないんですけど・・・・・・」
「あくまでシラを切るつもりなのね」
戸惑う紳士クンに撫子はそう言い、令に向かってこう言った。
「令お姉さま、こうなったら強行手段です。
紳士の部屋をくまなく探して、証拠品を見つけ出しましょう!」
「え?証拠品って何?ボクが何をしたって言うの?」
「分かったわ!」




