5 ターゲットは菫組
「えええぇっ⁉」
太刀の言葉に、撫子は悲鳴にも近い声を上げた。
そして令も声こそ上げなかったものの、大きく目を見開いた。
そんな中太刀は淡々と続けた。
「検査は明日。体育の時間を利用して、他のクラスには極秘で行う」
「あ、明日からなんてそんな、急すぎますよ!」
「だからいいんだろうが。前もって告知なんかしたら、
侵入者はその日に限って学園を休むかもしれんし」
「そ、それはそうですけど、女子部の全生徒を検査するとなると時間もかかるし、
その間に他のクラスにもバレちゃうんじゃ・・・・・」
「全生徒にする訳じゃない。するのは一年のあるクラス(・・・・・)だけだ」
「あるクラスだけ?それは、どうしてですか?」
「盗撮の対象が、そのあるクラスの生徒に集中しているからだ。
だから侵入者は、そのクラスの者である可能性が高い」
「ち、ちなみに、そのクラスって何組なの?」
令の問いかけに、太刀はこう答えた。
「一年菫組だ」
そしてそれを聞いた途端、撫子の顔が一気に青ざめた。
それを見て取った令が声を上げる。
「それって、まさか・・・・・・」
すると太刀は、目を細めながらこう言った。
「ああ、そういえば撫子の(・)妹も(・)、この(・・)クラス(・・・)だった(・・・)な」
そう、一年菫組とは、あの紳士クンが所属するクラスだったのだ。
そしてこの時令と撫子は、頭の中で全く同じ事を考えていた。
(大変な事に、なった・・・・・・)




