表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンの危機
79/103

4 犯人は女装した男?

その言葉に目を丸くする撫子。

かたわらの令も、平静を保ちながらも右の眉がわずかに動いた。

そんな二人に太刀は、声を潜めて言った。

 「つまり、()と(・)して(・・)この(・・)学園(・・)に(・)入学(・・)した(・・)()が(・)犯人(・・)かも(・・)しれない(・・・・)と、そう言ってるんだ」

 「えええぇっ⁉」

 驚きの声を上げる撫子。

 「な、何ですかそれ⁉男が女に変装して入学⁉

しかもそこで女子生徒を盗撮するなんて!」

 撫子はパニックになりそうだった。

女に変装してこの学園に入学した人間を一人知っているだけに、余計にそうだった。

その一方で、令は努めて冷静を装い、太刀に尋ねた。

 「それはまた随分と突飛な結論に聞こえるけど、ちゃんとした根拠はあるの?」

 「ある」

 太刀はキッパリ頷いて続けた。

 「今年の四月頃から、この手の写真が出回っているという情報はあったんだ。

ただその時はまだネットにも流れていなかったから、

写真の出所も、写真その物も確認する事ができなかった。

ところが最近になってこうしてネット上にこの画像が流れるようになった。

そこで私は生徒会執行部の者達と共に、この画像をネットに流した人物を洗い出し、

その人物の家に乗り込み、この画像を撮影した黒幕を吐かせた。

そしたらそいつは、この学園の男子部に通う生徒から、現金を払って買ったと言ったんだ」

 「え、じ、じゃあ、この件の黒幕は、この学園の男子生徒だったんですか?」

 撫子の問いかけに、太刀は尚も続けた。

 「ああ、五人の男子グループでな。

手に入れた女子部での盗撮写真を、男子部の他の生徒や、

外部のブルセラマニアなんかに高額で売りつけていたらしい。

ウチの女子部は警備が堅くて盗撮するのが困難だから、その分高くさばけるそうだ」

 「ちなみにそのグループは、どうなったんですか?」

 「本日付けで退学処分になった。あと、刑事告訴も検討しているところだ」

 「そうなんですか。で、でも、それならもう事件は解決じゃないですか?」

 撫子はホッとしてそう言ったが、それに対する太刀の言葉はこうだった。

 「いや、まだ終わってない」

 すると令が目を細めて言った。

 「その男子グループに写真を提供した女子部(・・・)へ(・)の(・)侵入者(・・・)が、

まだ捕まっていないのね?」

 「あ・・・・・・」

 令の言葉で、撫子の顔に再び緊張が戻る。そして太刀が続けた。

 「そういう事だ。実はこの侵入者と男子グループは、元々はつながりがないそうでな、

そのグループの奴らも、侵入者から郵送で写真を買い取っただけで、

侵入者の顔は知らないそうだ」

 「という事は、侵入者はこれからも盗撮を続けて、

また別の人にそれを売りさばく可能性があるって事ですか?」

 「そうだ。男子グループに侵入者の顔を知る者は居なかった。

ただ、侵入者の性別は男で、女装をしてこの女子部に入学している事は、

そいつらの証言で分かった。あとはその侵入者が誰なのかを洗い出すだけ」

 「洗い出すって、女子部全員の持ち物検査でもするんですか?」

 「いや、もっと確実な方法を使う」

 「どうするんです?」

 撫子の問いかけに、太刀はキッパリとこう答えた。

 「身体検査だ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ