1 タッちゃんの仕業ではない
春の暖かな日々に、そろそろ夏の暑さが顔を出そうかという五月になった。
そんなある日の放課後、生徒会役員をしている撫子は、
今日も生徒会室へとやって来ていた。
そこにはいつものように副会長の太刀が居て、
今日は珍しく、会長の令もちゃんと居る。
そして太刀が椅子に座ってノートパソコンに向かい、
そのパソコンの画面を、令と撫子が背後から覗き込んでいた。
太刀はパソコンのマウスをカチカチと操作して、画面の上にいくつかの画像を表示させ、
「これを見てくれ」
と、令と撫子に言った。
そう言われた二人は画面に一層顔を近づけ、
そこに映し出された画像を見た途端、ともに顔をしかめた。
「まあ、何という事かしら」
「これ、どういう事なんですか?」
そう声を上げた令と撫子が見た画像には、
この学園の更衣室での女子生徒の着替えの風景や、
女子生徒のスカートを下から盗み撮りしたものが映っていた。
「これって、完全に盗撮じゃないですか!」
「そうだ」
声を荒げる撫子に、太刀は冷静な口調で答える。
それに続いて令がこう言った。
「まさかタッちゃんに、こんな趣味があったなんて・・・・・・」
「違うわバカモン!どうして女の私がこんな事をせねばならんのだ⁉」
今度は太刀が声を荒げた。
それに対して撫子は、至極声を潜めて呟く。
「まぁでも、中身は男みたいなものだし・・・・・・」
「おい、聞こえたぞ撫子」
太刀は殺意に満ちた目つきで撫子を睨んだ。




