16 やっぱりバレていた
が、その直後に疑問がひとつ頭に浮かび、それを静香に尋ねた。
「あの、ところで、ひとつ聞いてもいいですか?」
「はい、何ですか?」
「静香さんは、女の人と接するのが苦手なんですよね?」
「ええ、そうです」
「なのにどうして、ボクとは普通に接してくれているんですか?
ボクも、その、女の子なのに」
この事に関して紳士クンはある程度の予想はついていたが、
それでも一応静香に確認しておきたかった。
すると静香はあっさりとこう答えた。
「だって乙子さんは、男の子なんでしょう?」
「う・・・・・・」
(やっぱりこの人は、ボクが男だっていう事を見抜いていたんだ・・・・・・)
最も知られたくない事を知られ、紳士クンは額から汗が噴き出した。
そして震える声で静香に尋ねた。
「ど、どうして分かったんですか?」
それに対して静香は、薄く笑みを浮かべて言った。
「私、そういう事にはハナが利くんです。
それにもし乙子さんが本当に女の子だったら、
図書館で初めて会った時も、声をかけていませんよ」
「そ、それもそうですね。ところで、あの、ボク、本当は男なのに、
その、こんな格好で、女子校に通ったりして、
でも、これは、色々と事情があって、あの・・・・・・」
「落ち着いてください」
ひたすら取り乱す紳士クンに、静香はクスッと笑い、優しい口調で続けた。
「別にその事を変に思ったりはしませんよ。
何か悪い事をしようと思って、女子校に通っている訳ではないんでしょう?」
「も、勿論です!ボクは好きで女子部に通っているという訳ではなくて、
これは、ある人に無理矢理そうさせられているんです!」
「乙子さんも色々大変なんですね。でも、見た目は本当に女の子みたいですよね。
そのルックスならこのまま女子部に通い続けても、バレる事はないと思いますよ?」
「そ、それはそれで複雑なんですけど・・・・・・」
紳士クンはシミジミそう言って、すがるような口調で静香にこう続けた。
「あの、どうかこの事は、周りの人達には内緒にしてもらえませんか?
もしバレたりしたら、ボクはどんな目にあわされるか・・・・・・」
「そうですねぇ・・・・・・」




