15 彼女の苦手な事
「仕方が、なかったんですか?」
「私、人と接するのが苦手なんです。正確には、女の人と接するのが苦手なんです」
「え?女の人と接するのが苦手?男の人じゃなくて?」
「はい。だからさっき乙子さん達がやって来て、助かったとは思ったんですけど、
つい、隠れてしまったんです。
でも、乙子さんにはちゃんと、事情を話しておきたかったから」
「そう、だったんですか。そういえばボクの姉も言ってましたけど、
静香さんはクラスの人と殆ど喋ったりしないそうですね」
「私、小さい頃に母を亡くしているんです」
「そ、そうなんですか」
「ええ。なので私は父と三人の兄に育てられたんです。
そのせいか、学校でも男の子とは仲良くなれるんですけど、
女の子とはどう接したらいいのか分からなくて、
同性の友達が全くできなかったんです。
それでそんな私を父が見かねて、私にこの学園をすすめてくれたんです。
女の子しか居ない環境に身を置けば、接し方も自然に身に付くだろうって。
だけどこの学園に入学して一年以上経つんですが、
なかなか思うようにできなくて・・・・・・」
「何か、色々と大変そうですね」
静香とは形こそ違うが、同じ様にこの学園で色々苦労を重ねている紳士クンは、
シミジミそう言って頷いた。




