表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第四話 紳士クンの部活動
69/103

11 白くて細長い腕

それはともかく、ようやく図書室の中に入った紳士クン達。

中は教室ふたつ分くらいの広さで、半分以上が本棚の並ぶスペースになっている。

その部屋を紳士クン達は一通り見て回ったが、それらしいものには全く遭遇しなかった。

 「やっぱり何も出ぇへんやんか」

 早々と幽霊探しを諦めた笑美は、そう言って読書スペースにあった椅子に腰掛けた。

それに対して華子は、部屋のあちこちを懐中電灯で照らしながら言った。

 「まだそうと決まった訳ではありません。

もしかしたら姿は消したままで、既にこの近くに居るかもしれませんし」

 「そういうのは霊感がある人やったら分かるんやろ?あんたは何も感じへんの?」

 「はい。あいにく私は霊感というものが一切ないので」

 「あんたな・・・・・・そんなんでよく幽霊に会いたいとか思うなぁ」

 「霊感がないからこそ、余計にそういうものに会ってみたいんですよ」

 「そんなもんかなぁ?」

 そんな二人のやりとりを、紳士クンは部屋の出入り口近くに(たたず)んで眺めていた。

目が馴れて大分周りが見えるようにはなってきたが、

それでも恐怖心は変わらず紳士クンの心の中にあった。

 (華子さんには悪いけど、このまま何も出ませんように)

 心の中で密かにそう願う紳士クン。

と、次の瞬間、紳士クンの背後から、白くて細長い二本の腕がヌッと現れた。

そして右手は紳士クンの口を塞ぎ、左腕は紳士クンの上半身をガッチリと抱え込んだ。

 「──────っ⁉」

 いきなり口と体を封じられ、パニックに陥る紳士クン。

紳士クンはその二本の腕に引きずり込まれるように、廊下の闇に消えた。

時間にして二秒とない、ほんの一瞬の出来事だった。

その為笑美も華子もこれには全く気がつかなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ