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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第四話 紳士クンの部活動
66/103

8 釘抜き持参

その日の夜。

場所はさっきと同じエシオニア学園の旧校舎の前。

そこに放課後の時と同じく、紳士クン、笑美、華子の三人が、再び集合していた。

どうしても幽霊の事が諦めきれない華子が、

夜になって他の二人に集合をかけたのだ。

門を閉ざした学園内に入り込むのは簡単ではなかったが、

華子が持参した縄梯子(なわばしご)(何故華子がそんな物を持っているのかは不明だが)を使い、

何とか学園のレンガの塀を乗り越えた。

時刻は現在午後八時を過ぎた所。

当然学園内に人の気配はなく、不気味なまでに静まり返っている。

そんな中、ラフな私服姿で学園にやって来た笑美が、心底げんなりした顔で華子に言った。

 「あんたなぁ・・・・・・そこまでして幽霊に会いたいんか?」

 「当然です!」

 笑美とは対照的にハイテンションな華子は即答した。

ちなみに華子も今は私服だ。

 「この目であの幽霊の姿をハッキリ確かめるまでは、絶対に諦めません!」

 「でもこれってやっぱりマズイんじゃないかなぁ。

万が一見回りの人とかに見つかったら・・・・・・」

 三人の中で唯一制服姿で現れた紳士クン

(下手に私服を着てくると、男である事がバレてしまうかもしれないと思ったのだ)は、

周りをキョロキョロ見回しながら言った。

 「大丈夫です!見回りの守衛さんはこんな所まで来ません!」

 「で、でも・・・・・・」

 「それにこれだけ暗くなった今なら、ほぼ確実に幽霊に会えるでしょう!」

 「そ、それはそれで困るんだけど・・・・・・」

 拳を握って熱く語る華子の言葉に、紳士クンはそう言って肩を落とす。

そこに笑美が口を挟む。

 「それはそうと、一体どうやってこの旧校舎に入るんや?

唯一の入口やったあの窓は、放課後に副会長さんが塞いでしもうたやんか」

 「ふっふっふ、その点はご心配なく」

 華子は不敵に笑ってそう言うと、背負っていたリュックサックから、

L字型の釘抜きを取り出した。

 「これであの窓に打ち付けられた板の釘を抜いてしまえば、

またこの校舎に入る事ができます」

 「あ、あんた、幽霊の為なら何でもするんやな・・・・・・」

 呆れるのを通り越し、むしろ感心する様に笑美は言った。

そして華子は右の拳を突き上げ、元気よく言った。

 「さあ今度こそ、オカルト研究会の活動開始です!」



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