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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第三話 紳士クンの再会
58/103

20 結局こうなる

その目には、やけに熱いものが込められていた。

そのただならぬ熱気(悪寒とも言う)を感じ取った紳士クンは、

顔をひきつらせながら尋ねた。

 「あ、あの、どうしたんですか?」

 それに対する兆太郎の回答はこれだった。

 「あんたって、いい女だな」

 「えっ⁉」

 その言葉に凍りつく紳士クン。

しかし兆太郎は構わず続けた。

 「もしかしたら俺、あんたにだったら、恋ができるかもしれねぇ」

 「えぇっ⁉」

 「だけど、今はこの心の傷を癒す時間が必要だ。

もしこの傷が癒えたら、その時、あんたに告白するかもな」

 と言って、再び紳士クンに熱い視線を送る兆太郎。

対する紳士クンは、

 「えええぇっ⁉」

 と叫び声を上げるしかなかった。

すると兆太郎はスッと立ち上がった。

 「あんたと話が出来て良かったよ。

あんたのおかげで、あいつへの未練は引きずらないで済みそうだ」

 「そ、そうですか・・・・・・」

 「また話をしようぜ、あの図書館でな」

 兆太郎はそう言うと、校門へ向かって走っていった。

その後姿を紳士クンは、ただただ呆然とした顔で見送った。

そして心の中で、あの図書館には当分行かないでおこうと固く誓ったのだった。

 「お~い、うまくいった?」

 そんな紳士クンに、木陰から出て歩み寄って来た撫子が、ニコやかに声をかける。

しかし紳士クンの顔に全く笑みはなく、悲愴感(ひそうかん)すら漂う表情で、撫子にこう問うた。

 「お姉ちゃん、恋をする相手っていうのは、

その相手が異性だろうと同姓だろうと、関係ないのかな?」

 「へ?何が?」

 紳士クンの言わんとする事がもうひとつ飲み込めなかった撫子は、

そう言って目を丸くした。

なので紳士クンはそれ以上何も言わず、夕日の浮かぶ空を見上げた。

そこにある夕日は赤かった。

さっき紳士クンを見詰めていた、兆太郎の頬の様に・・・・・・。

 「はぁ・・・・・・」



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