20 結局こうなる
その目には、やけに熱いものが込められていた。
そのただならぬ熱気(悪寒とも言う)を感じ取った紳士クンは、
顔をひきつらせながら尋ねた。
「あ、あの、どうしたんですか?」
それに対する兆太郎の回答はこれだった。
「あんたって、いい女だな」
「えっ⁉」
その言葉に凍りつく紳士クン。
しかし兆太郎は構わず続けた。
「もしかしたら俺、あんたにだったら、恋ができるかもしれねぇ」
「えぇっ⁉」
「だけど、今はこの心の傷を癒す時間が必要だ。
もしこの傷が癒えたら、その時、あんたに告白するかもな」
と言って、再び紳士クンに熱い視線を送る兆太郎。
対する紳士クンは、
「えええぇっ⁉」
と叫び声を上げるしかなかった。
すると兆太郎はスッと立ち上がった。
「あんたと話が出来て良かったよ。
あんたのおかげで、あいつへの未練は引きずらないで済みそうだ」
「そ、そうですか・・・・・・」
「また話をしようぜ、あの図書館でな」
兆太郎はそう言うと、校門へ向かって走っていった。
その後姿を紳士クンは、ただただ呆然とした顔で見送った。
そして心の中で、あの図書館には当分行かないでおこうと固く誓ったのだった。
「お~い、うまくいった?」
そんな紳士クンに、木陰から出て歩み寄って来た撫子が、ニコやかに声をかける。
しかし紳士クンの顔に全く笑みはなく、悲愴感すら漂う表情で、撫子にこう問うた。
「お姉ちゃん、恋をする相手っていうのは、
その相手が異性だろうと同姓だろうと、関係ないのかな?」
「へ?何が?」
紳士クンの言わんとする事がもうひとつ飲み込めなかった撫子は、
そう言って目を丸くした。
なので紳士クンはそれ以上何も言わず、夕日の浮かぶ空を見上げた。
そこにある夕日は赤かった。
さっき紳士クンを見詰めていた、兆太郎の頬の様に・・・・・・。
「はぁ・・・・・・」




