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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第三話 紳士クンの再会
53/103

15 既にバレている?

紳士クンは思わず、

 「うわわっ⁉」

 と驚きの声を上げ、ニ、三歩後ろによろめいた。

対する静香は大して驚く素振りもなく、昼間と同じ様に抑揚のない口調で言った。

 「あら、あなたは昼休みの時の」

 「あ、ど、どうも」

 紳士クンは苦笑いしながら静香に会釈する。

すると静香は表情のない顔で、紳士クンの頭から足の先までをじーっと眺めた。

 「あの、何ですか?」

 紳士クンが不安になって尋ねると、静香は呟く様にこう言った。

 「女子の制服でも、全然違和感ないですよね」

 「えっ⁉」

 その言葉を聞き、顔をひきつらせる紳士クン。

 (そ、それって、ボクが男の割には女子の制服も似合うって事ーっ⁉)

 静香は昼休みの時も、紳士クンを男だと見抜いたような発言をしていた。

果たして彼女は、紳士クンの正体を見抜いているのだろうか?

静香は表情があまりないだけに、その辺りの所が紳士クンには全く分からず、

それが却って紳士クンの不安を(あお)り立てるのだった。

 (こ、この人は、ボクが男だって事が分かってるの⁉それとも分かってないの⁉)

 しかしそんな紳士クンの不安など(つゆ)も知らない様子で、静香は紳士クンに言った。

 「お姉さんに、会いに来たんですよね?」

 「へっ?あ、は、はひっ!そうです!」

 静香の言葉に、紳士クンは思わず声を裏返らせながら答えた。するとそこに、

 「あれ?し・・・・・・じゃなくて、乙子じゃないの。どうしたのこんな所で?」

 と、撫子が教室から出て来て紳士クンに声をかけた。それを見た静香は、

 「それじゃあ、私はこれで」

 と言い、紳士クンと撫子に会釈をし、ゆっくりとした足取りで去って行った。

 「あ、さ、さようなら」

 静香の背中にそう言う紳士クンに、撫子は不思議そうな顔をして言った。

 「あんた、今彼女とどんな話をしてたの?」

 「え?えーと、何と言ったらいいか、ボクも難しいんだけど・・・・・・」

 まさかこの場で、自分が男だとバレたかもしれないとは言えず、紳士クンは返答に困った。

すると撫子は構わずこう続けた。

 「私、あの人がこの学園で誰かと会話してるの、初めて見たわ」

 「え?そ、そうなの?確かに大人しそうな人だけど、

ボクには普通に話しかけてくれたよ?」

 「ウチのクラスじゃとても静かにしてるわよ。

あの人の声自体を聞いたのも、随分久しぶりな気がするわ」

 「へ、へぇ~、そうなんだ・・・・・・」

 それを聞いた紳士クンは、静香という人物がますます分からなくなった。



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