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14 撫子に相談
そして放課後。
終礼を終えた紳士クンは、一緒に帰ろうと言う笑美と華子の誘いを丁重に断り、
撫子が居る教室へと向かった。
その理由は勿論、兆太郎の事で相談に乗ってもらう為である。
紳士クンは今日の昼休み、出会いの館と呼ばれる図書館で、
あの兆太郎と思わぬ再会を果たしてしまった。
この学園には、出会いの館で出会った相手に、
告白の池で告白をすれば、その恋が叶うという噂がある。
もし兆太郎がその事を知っていれば、今日の下校の時にでも、
告白の池で紳士クンを待ち伏せする可能性は非常に高い。
そういう状況になってしまった今、紳士クンがその事を相談できるのは、
撫子をおいて他に居ないのだ。
そして紳士クンは撫子が居る教室の前にやって来た。
そのクラスも既に終礼は終わったようで、教室から生徒がチラホラと出て来ていた。
(お姉ちゃん、まだ居るかな?)
そう不安に思いながら、紳士クンは教室の出入り口の端に立ち、ひょいっと中を覗いた。
するとすぐ目の前に、昼休みに図書館で会った、迚摸静香が現れた。




