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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第三話 紳士クンの再会
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9 運命(?)の再会

「この本を取るのか?」

 と声がしたかと思うと、紳士クンの背後からヌッと長い手が伸び、

紳士クンが取りたかった本を、いとも簡単に手に取った。

そしてそれを、

 「ほらよ」

 と言いながら、紳士クンの目の前に差し出す。

その声は男のそれだった。

どうやら高い所にある本をなかなか取れない紳士クンを見かねて、

親切な男子生徒が代わりに取ってくれたようだ。

紳士クンは少し恥ずかしく思いながらも、

 「あ、ありがとうございます」

 と言ってその本を受け取り、その人物の方に振り向いた。

そしてその人物の顔を見た瞬間、

 「あ・・・・・・」

 と短い声を上げ、まるで瞬間冷凍された様にこり固まってしまった。

一方そんな紳士クンを見たその人物も、

 「お・・・・・・」

 と声を上げ、同じ様にこり固まった。

ちなみにその人物は、紳士クンの事を知っていた。

そして紳士クンも、その人物の事を知っていた。

そんな中紳士クンが、呟く様にその人物の名を呼んだ。

 「(ばん)・・・・・・(ちょう)太郎(たろう)君?」

 そう、紳士クンに本を手渡してくれたその人物とは、

中学時代紳士クンに愛の告白をした、あの(ばん)(ちょう)太郎(たろう)だったのだ。

兆太郎がこの学園の男子部に入学した事は第二話の冒頭に記したが、

その事実を全く知らなかった紳士クンは、頭の中が真っ白になった。

 (な?え?ど、どうしてここに伴君が?)

 一方兆太郎の方も、紳士クンがこの学園の、しかも女子部に入学していたなど、

全く思いもしなかった。

そもそも兆太郎がこの学園に入学したのは、

紳士クンに見合うような男らしい男になる為である。

その憧れの紳士クンが思わぬ場所で目の前に現れ、兆太郎の方も頭が真っ白になっていた。

そんな中兆太郎も、紳士クンの名を呼ぼうとした。



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