3 お姉様がチャンピオン
と、いうやりとりがあり、今の状況になっている。
「もう!やめてってば二人とも!」
紳士クンは必死にそう訴え続けるが、笑美と華子は一向にそれをやめようとしない。
それどころか、
「笑美さん、ちょっと乙子さんの腕を押さえていてもらえますか?」
「よっしゃ!」
と、妙に息の合ったコンビネーションを見せ、紳士クンへのイタズラを続けるのだった。
(こ、このままだと、ボクが男だって事がバレる・・・・・・)
そう悟った紳士クンは、申し訳ないと思いながらも、笑美と華子の体を突き飛ばした。
「わわっ⁉」
「きゃっ⁉」
見た目が女の子とはいえ、紳士クンは歴とした男である。
その男の力で突き飛ばされた笑美と華子は、そのまま後ろにすっ転んだ。
「ご、ゴメン二人とも!でもボク、こういうのはダメなんだ!」
そう言って紳士クンは、一目散に校舎の入口の方へ向かって駆け出した。
背後から、
「あ!乙子ちゃんストップ!」
という笑美の声が聞こえたが、
紳士クンはそれを振り切るように目をつむったまま走った。
するとその直後、ドン!と何かにぶつかった。
そして立ち止まって目を開けるとそこに、天使の様な笑みを浮かべた令が立っていた。
「あ、れ、令お姉さま?」
予想外の人物の登場に、目を丸くする紳士クン。
その紳士クンを令は、
「会いたかったわ乙子ちゃん♡」
と言いながら、ギュッと抱き締めた。
「わわわっ⁉令お姉さま⁉」
焦りまくる紳士クン。
その顔に、令のたわわなふたつの果実がポヨンと密着される。
そしてその果実を後ろで見ていた笑美が、シミジミとした口調で言った。
「チャンピォンやな」
「そうですね」
傍らの華子も同意する。
そんな中笑美は、疑問に思っていた事を直接令に聞いた。
「あの、凄木会長は、乙子ちゃんとお知り合いなんですか?」
「ええ♡」
令は即答してこう続けた。
「とても仲良しのお友達なの♡」
「へぇ、それは知りませんでした」
(ボ、ボクも知らなかったよ・・・・・・)
華子の言葉に、紳士クンもそう思った。
しかしそれを声に出そうにも、令の果実で口を塞がれているので声が出せず、
それどころか息も満足にできない状態だった。
(く、苦しい・・・・・・)
端の男から見るとそれは天国の様な光景だったが、
当の紳士クンはそのまま本当に天国に行ってしまいそうな勢いだった。
そんな中令が言った。
「ちょっと乙子ちゃんを、お借りしてもよろしいかしら?」
「え?あ、はい」
「別に、構いませんけど」
そう言って頷く笑美と華子。
すると令は二人に、
「ありがと♡」
と言い、紳士クンを引きずるように、踵を返して歩いて行った。
「あの二人、ホンマに仲良しなんやなぁ」
その場に残された笑美がポツリと言った。
それに対して華子はこう返す。
「そうですか?私の見立てでは、
乙子さんは随分と凄茎会長の事を恐れていたように見えましたけど」
「え?そう?まあ仲良しと言うても、相手はこの学園の生徒会長さんやから、
ちょっと緊張してただけとちゃうの?」
「いいえ、もしかしたら乙子さんは、
何か人に言えないような秘密を、会長に握られているのかも」
「えぇ?もしそうやとしたら、ウチらが凄木会長の魔の手から、
乙子ちゃんを助けたらんとあかんやんか!」
「そうですね。そしてその為にも、私達も乙子さんの秘密を知る必要がありますね」
「そうやな!そしてその秘密をネタに、乙子ちゃんを私らの言いなりに!」
「違うでしょ」




