18 オカケンタ研究会ではない
その物凄い形相に、紳士クンは思わずたじろぎながら尋ねた。
「ど、どうしたの笑美さん?そんなに怖い顔して?」
「乙子ちゃんがなかなか戻って来ぇへんからずっと探してたんやんか!
それやのに乙子ちゃんは他の子と楽しそうに話してるから!
ウチはこう見えてもごっつい淋しんぼなんやで⁉」
「あ、そ、そうだったんだ。ゴメン、笑美さん。
えと、さっき偶然この戸入野さんと会って、話をしてたんだよ」
紳士クンはそう言って笑美に華子を紹介すると、笑美は華子を指差して言った。
「あんたは同じクラスの戸入野華子やないか!確か、『オカケンタ研究会』の!」
それに対して華子は、幾分ムッとしながらこう返した。
「『オカケンタ』じゃなくて、『オカルト研究会』です。
そういうあなたは元気のみが取り得の樫増笑美さんじゃないですか」
「誰が元気だけが取り得やねん!失礼なやっちゃな!」
「まあせっかく同じクラスになったんですから、仲良くしあげてもいいですよ?」
「ウチはあんたみたいな怪しい奴と仲良くなりとうない!
乙子ちゃんと仲良くできたらそれでええねん!」
「あら奇遇ですね。実は私もさっき、乙子さんと仲良しになったんですよ?」
「なっ⁉会ったばっかりやのにそんなすぐに仲良しになれる訳ないやろ!」
「ですが少なくともあなたより私の方が、乙子さんと仲良しになれると思います」
「ムキョーッ!ウチの方が乙子ちゃんと仲良しや!」
「これからもっと仲良しになりましょうね、乙子さん♡」
「何を言うてるんや!乙子ちゃん、こんな怪しい女ほっといて、ウチと仲良くしような?」
そう言って笑美と華子は、紳士クンを間に挟んでバチバチと熱い火花を散らした。
一方そのやりとりを傍らで眺めていた紳士クンは、
「あ、あはは・・・・・・」
と苦笑いするしかなかった。
(これから、大変そうだなぁ・・・・・・)
心の中でそう嘆く紳士クンだったが、何はともあれ二人の友達ができたのだ。
これで紳士クンの学園生活も、幾分楽しいものになるだろう。多分。
(うぅ・・・・・・)




