17 トイレの中で戸入野華子
「あ、同じクラスだったんですね。
スミマセン、ボク、まだクラス全員の名前と顔を覚えてなくて・・・・・・」
「それは私も同じです。どうか気にしないでください。
それより乙子さんも、この校舎に出ると言われている幽霊を探しに来たんですか?」
「い、いやいや、ボクはその、たまたま近くを通りかかった時に、
トイレに行きたくなったから・・・・・・」
「そうですか、それは残念です。もしそういう事に興味があるのなら、
私が創った『エシオニア学園オカルト研究会』の会員になってもらおうと思いましたのに」
「そ、そういうオカルト関係のものは、ボクは苦手で・・・・・・」
「分かりました。でもまあ同じクラスメイト同士、
これからご学友としてよろしくお願いします」
そう言って華子と名乗った彼女は、紳士クンに握手の手を差し出した。
「あ、こ、こちらこそよろしく」
そう言って紳士クンは、華子と握手を交わした。
「それでは、とりあえずここを出ましょうか」
「そうだね」
そう言って二人は、このまま旧校舎から出た。
「そういえば、戸入野さんはこの校舎の鍵を持ってたの?」
「いいえ。一階の窓の中に、鍵が壊れたのがあるので、そこから忍び込みました」
「バレたら怒られそうだなぁ・・・・・・」
などという会話をしながら教会の辺りに差し掛かると、前の方から笑美が、
「あーっ!」
と声を上げ、猛スピードで紳士クン達の元に駆け寄ってきた。




