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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンの乙子ちゃんな日々
36/103

16 幽霊の正体

それを見て反射的に身構える紳士クン。

そこから現れるのは幽霊かもののけ(・・・・)か、それとも宇宙人か?

しかし紳士クンの目の前に現れたのはそのいずれでもなく、

紳士クンと同じ白いワンピースの制服を着た、女子生徒であった。

 「あ、あれ?」

 予想外の光景に、頓狂(とんきょう)な声を上げる紳士クン。

 (人間の、女の子?)

 そう、個室から出てきた声の主は、この学校の女子生徒だったのだ。

 黒のストレートヘアーを肩より少し下の所まで伸ばし、

前髪は目が全部隠れる程に長く伸ばしている。

そのせいで彼女の目元は(ほとん)ど見えず、何とも謎めいた雰囲気をかもしだしていた。

 そんな彼女の姿を見て、紳士クンは直感的に思った。

 (ま、まさか、この子がお姉ちゃんが言っていた、

昔この校舎で自殺をした幽霊なんじゃ⁉)

 恐怖におののく紳士クン。

そんな紳士クンに目の前の彼女は、幽霊らしからぬ健康的な口調で言った。

 「これ、どうもありがとうございました。おかげで助かりました」

 そして紳士クンにさっきのティッシュを返し、ペコリと頭を下げる。

それを見た紳士クンは、

 「あ、あれ?」

 とまた頓狂な声を上げ、おずおずと彼女に尋ねた。

 「し、失礼ですけど、あなたはこの校舎に住むと言われる、幽霊さんではないんですか?」

 「はい、違います」

 紳士クンの問いかけに即答した彼女は、自分の両膝をポンポンと叩いた。

 「ほら、ちゃんと足もあるでしょう?私は幽霊じゃありませんよ」

 「そ、そう、なんだ・・・・・・」

 彼女の言葉を聞いた紳士クンは、心の底からホッとした。

そして彼女からティッシュを受け取りながら続けた。

 「ゴ、ゴメンナサイ、幽霊だなんて言ったりして。

その、この校舎には幽霊が出るって聞いたから、

もしかしてそうなのかなと思って・・・・・・」

 「ああ、その事ならどうぞお気になさらず。

私もその幽霊を探す為に、この校舎に来ていましたから」

 「えぇっ⁉そうなんですか⁉」

 「はい。それで、ちょっとトイレに行きたくなったのでここに入ったところ、

ティッシュがない事に後から気づきまして、ずっとあの中で途方に暮れていたんです。

そしたらちょうどあなたが隣の個室に入ってきたので、慌てて助けを求めたんです」

 「そ、そうだったんですか・・・・・・」

 「おかげで助かりました。ところであなたは、一年菫(すみれ)組の、蓋垣乙子さんですよね?」

 「あ、そうですけど、もしかして、あなたも入学式でのアレを見ていたんですか?」

 「まあそれもありますけど、私はあなたと同じクラスなんですよ?

名前は、()入野(いれの)華子(はなこ)といいます」



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