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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンの乙子ちゃんな日々
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6 男子が女子校に通う際の問題点・体育編

そんなこんなで女子校に通っている紳士クンだが、

男が女子校に通うとなると、当たり前だが何かと問題が発生する。

中でも取り分け問題なのは、何と言っても体育の授業とトイレだった。

 今日の二時間目に、そのふたつの問題のうちのひとつである、体育の授業がある。

 どうして体育の授業が紳士クンにとって問題なのかは、言わずもがなであろう。

体育の授業を受ける為には、(しか)るべき服装に着替えなければならない。

そしてその着替えを、クラスメイトの女子達と同じ空間の中で行わなければならないのだ。

それはつまり、うら若き女子高生の生着替えを堂々と(おが)める訳だが、

逆に言うと、周りの女子達に紳士クンの着替えを見られてしまうという事でもある。

元々異性にあまり馴れていない紳士クンにとって、

女子の着替えを見られる嬉しさよりも、

その女子達に自分の着替えを見られる恥ずかしさの方がはるかに大きかった。

それに下手をすれば、

その時に紳士クンが男だとバレてしまう可能性も多分にあるのである。

この学園の女子の体操着はハーフパンツなので、体操着に着替えたとしても、

そうそう紳士クンが男だとバレる事はないが、

着替えの段階でバレてしまう危険性は(いな)めない。

 もしバレてしまったら、あの太刀にどんな目にあわされるか分かったものではないし、

それに何よりこの学園を退学になってしまう。

それはそれで紳士クンにとっては困る事なのだ。

 そこで紳士クンはどう対処しているかいうと、

この学園は体育の着替えを校舎一階にある更衣室でする事になっているのだが、

紳士クンは体育の前の授業が終わると同時にその更衣室に一目散に向かい、

まだ誰も来ないうちにさっさと着替えを済ませて、運動場なり体育館へと向かう。

そして体育が終わった後も同じ様に真っ先に更衣室に駆け込み、

歌舞伎役者のように素早く着替えを終えて教室に戻る。

こうして紳士クンは、

何とか他の女子生徒達に自分の着替えを目撃される事を回避しているのだ。

この学園では幸いな事に夏でもプールの授業がないらしいので、

体育の問題は一応これで何とかなるようだった。

 そして今は一時間目の授業の終盤。

この後に問題の体育が控えており、

紳士クンはそっちの方に全神経を集中させていた。

いくら有効な対処法を確立しているとはいえ、これは時間との闘い。

速やかに行動しなければ、他の女子生徒達が更衣室に来てしまう。

なので紳士クンは体育の授業の前になると、いつも緊張感を張り詰めているのだった。

そんな中、一時間目の終わりを告げる、教会の鐘の音が鳴り響いた。

紳士クンは授業終了の礼をし終えると同時に鞄の中から体操着を取り出し、

直ちに教室を出て一階の更衣室へと向かった。



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