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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンの乙子ちゃんな日々
22/103

2 紳士クンは意外と近くに居る

これが正しいかどうかはともかく、そう考えた彼は、

更に己の男らしさを磨くべく、エシオニア学園の男子部に入学した。

そこは偶然にも紳士クンと同じ学校だったのだが、

兆太郎はまだ、その事には気づいていなかった。

 (待っていてくれ蓋垣。俺はこの学校で、お前に見合うような男らしい男になって、

必ずまたお前に告白するからな!)

 固くそう誓った兆太郎は、その想いを胸に、男子部の校舎へ向かって歩いていた。

そして、庭園の中心部に位置する噴水のある丸池の所に差し掛かった時、

兆太郎は池の向こう側に、自分のよく知った人物が居る事に気づいた。

それを見た兆太郎は、思わず心の中でこう叫んだ。

 (あれはまさか、蓋垣⁉)

 噴水越しでややぼやけているとはいえ、その人物のシルエットは、

限りなく紳士クンのそれに近かった。

しかしその人物は、その身に女子用の制服をまとい、女子部の校舎へと向かっている。

 (どうやら俺の勘違いみたいだな。俺の愛する蓋垣は、

確かに女の様に可憐で清楚だが、性別は男だからな)

 そう考えた兆太郎はフッと苦笑し、踵を返して男子校舎の方へ歩いていった。

そして真っ青に染まった空を見上げ、

 (蓋垣は今頃、何処で何をしているんだろうなぁ)

 と、愛しき人に想いを馳せていた。

ちなみにその紳士クンは、エシオニア学園の女子の制服を着て、

女子部の校舎に向かって歩いていた。

実はさっき兆太郎が噴水の所で見かけた紳士クンらしき人物が、

正にその紳士クンだったのだ。

兆太郎はその事に気づかなかったが、紳士クンの方も、

あの兆太郎がエシオニア学園に入学しているとは、思いもしなかった。



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