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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンの入学式
20/103

16 令の思惑通り

ひきつりそうになる顔を何とか平静に保ちながら、紳士クンはそう言った。

だが決して彼はそれを望んだ訳ではない。

そう、仕方がなかったのだ。

西郷さん的な口調で言うと、仕方がなかったのでごわす。

 「まあ、そういう訳なんです・・・・・・」

 紳士クンの言葉を受け、撫子が太刀に言った。

しかし太刀は、まだ納得がいかないという表情をしている。

そんな太刀に、令がさも嬉しそうな顔で言った。

 「これでハッキリしたわね。乙子ちゃんはやっぱり女の子なのよ。

それともやっぱり、乙子ちゃんの裸が見たい?」

 「そ、そんな訳あるか!もういい!好きにしろ!」

 太刀は吐き捨てるようにそう言い、(きびす)を返してズカズカと聖堂の奥の方へ戻って行った。

 「た、助かったぁ・・・・・・」

 太刀の後姿を眺めながら、心底ホッとしたように撫子が呟いた。

 「ウフフ、タッちゃんは凄く規律を重んじる人だから、

もし乙子ちゃんが男の子だったら、大変な事になっていたわね」

 「ええ、マッタクです。誰かのおかげでね」

 白々しく言う令に、撫子は皮肉たっぷりにそう返したが、

令は全く気にしていない様子だ。

そして一方の紳士クンは、そんな令と撫子のやりとりを呆然と眺めながら、

 (これからボク、どうなっちゃうの?)

 と、頭の中で何度も繰り返していた。

その紳士クンの肩にポンと手を置き、撫子は言った。

 「まあ、その、そういう訳だから・・・・・・」

 「そ、そういう訳って、どういう訳なの?」

 泣きそうになりながら尋ねる紳士クンに、令が満面の笑みで言った。

 「今日からあなたは女子部(・・・)の(・)生徒(・・)なのよ。乙子ちゃん♡」

 「・・・・・・」

 それを聞いた紳士クンは、その身にまとった制服の色の様に、頭の中が真っ白になった。

 かくして当物語の主人公、(けだ)(かき)紳士(しんし)クンは、(けだ)(かき)乙子(おとこ)ちゃんとして、

エシオニア学園の女子部に入学する事となった。

果たして紳士クンは将来、立派なジェントルメンになる事ができるのか?

う~ん、

ちょっと、

難しいかもしれない・・・・・・。



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