14 性別の見分け方
(ど、ど、どうしよう・・・・・・)
もはや絶体絶命の紳士クンは、何とかこの場を切り抜けられる方法を必死に考えた。
このままでは自分も撫子も、目の前の太刀に粛清されてしまうし、
かといって自分が男だと正直に名乗り出たところで、状況は殆ど変わらない。
いやむしろ、女装して女子部の入学式に忍び込んだ変態として、
よりひどい罰を科せられる可能性が大いにある。
もはや紳士クンに助かる道はないのか?
そう思われた、その時だった。
「もうその辺でカンベンしてあげたら?」
と、太刀に声をかけた人物が居た。
そしてその人物とは、いつの間にやら太刀の背後に来ていた令だった。
この学園の生徒会長にして、紳士クンをこのピンチに陥れた張本人。
今更言うでもなく、紳士クンが失神している間に、
彼に女子用の制服を着せたのは令である。
もし、何故そんな事をしたのかと令に尋ねたら、彼女はためらいなくこう答えるだろう。
『だって、面白そうだったんですもの♡』
凄茎令とはそういう人間なのだ。
そんな令に、太刀は鋭い目を向けて言った。
「そんな訳にはいかないだろう。もしかするとこいつは、男かもしれないんだからな」
それに対して令は、軽い口調で続ける。
「でも撫子さんは、その子の事を自分の妹だと言ったじゃないの」
「だが本人は自分が男だと言った」
「乙子ちゃんでしょ?ステキな名前じゃないの」
「いーや、撫子は嘘をついている。恐らくそいつは乙子ではなく、男だ」
「でも、タッちゃん──────」
「その締まりのない呼び方はやめろ!いつも言ってるだろうが!」
「冷たいわねぇ」
「そういう問題じゃあない!」
「まあそれはともかく、もしその子が男だと疑うのなら、
一体どうやってそれを証明するの?」
「そんなもの、裸を見れば一目瞭然だろう」
「あなたが見るの?」
「当然だ」
「という事は、もしその乙子ちゃんが本当に男の子だったら、
あなたは男の子のアレ(・・)も見る事になるのね?」
「なっ⁉そこまで見る必要はないだろ!胸元を見れば充分に分かる!」
「どうかしら?乙子ちゃんくらいの年なら、
まだ胸が充分膨らんでいない事だってあるわ。私はそういう女の子が大好きだし」
「何の話をしている⁉」
「だから私、タッちゃんが大好きなの」
「馬鹿にしてるのか⁉」
「誉めてるのよ」
「何処がだ!とにかく!それだったら男子部の生徒を呼んで、
こいつの体を確認させればいい!
これなら男同士だから、あ、アレを見られても問題はないだろ!」
「でもそれだともし乙子ちゃんが本当に女の子だった時、
乙子ちゃんの裸を、見ず知らずの男子生徒に見られる事にならない?」
「だあああっ!だったらどうしろと言うんだ⁉」
「本人に聞くのが一番早いわよ。ね?」
「え?」




