表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンの入学式
18/103

14 性別の見分け方

(ど、ど、どうしよう・・・・・・)

 もはや絶体絶命の紳士クンは、何とかこの場を切り抜けられる方法を必死に考えた。

このままでは自分も撫子も、目の前の太刀に粛清されてしまうし、

かといって自分が男だと正直に名乗り出たところで、状況は(ほとん)ど変わらない。

いやむしろ、女装して女子部の入学式に忍び込んだ変態として、

よりひどい罰を科せられる可能性が大いにある。

もはや紳士クンに助かる道はないのか?

そう思われた、その時だった。

 「もうその辺でカンベンしてあげたら?」

 と、太刀に声をかけた人物が居た。

そしてその人物とは、いつの間にやら太刀の背後に来ていた令だった。

 この学園の生徒会長にして、紳士クンをこのピンチに(おとしい)れた張本人。

今更言うでもなく、紳士クンが失神している間に、

彼に女子用の制服を着せたのは令である。

もし、何故そんな事をしたのかと令に尋ねたら、彼女はためらいなくこう答えるだろう。

 『だって、面白そうだったんですもの♡』

 凄茎令とはそういう人間なのだ。

そんな令に、太刀は鋭い目を向けて言った。

 「そんな訳にはいかないだろう。もしかするとこいつは、男かもしれないんだからな」

 それに対して令は、軽い口調で続ける。

 「でも撫子さんは、その子の事を自分の妹だと言ったじゃないの」

 「だが本人は自分が男だと言った」

 「乙子(・・)ちゃんでしょ?ステキな名前じゃないの」

 「いーや、撫子は嘘をついている。恐らくそいつは乙子(・・)ではなく、()だ」

 「でも、タッちゃん──────」

 「その締まりのない呼び方はやめろ!いつも言ってるだろうが!」

 「冷たいわねぇ」

 「そういう問題じゃあない!」

 「まあそれはともかく、もしその子が男だと疑うのなら、

一体どうやってそれを証明するの?」

 「そんなもの、裸を見れば一目瞭然だろう」

 「あなたが見るの?」

 「当然だ」

 「という事は、もしその乙子ちゃんが本当に男の子だったら、

あなたは男の子のアレ(・・)も見る事になるのね?」

 「なっ⁉そこまで見る必要はないだろ!胸元を見れば充分に分かる!」

 「どうかしら?乙子ちゃんくらいの年なら、

まだ胸が充分膨らんでいない事だってあるわ。私はそういう女の子が大好きだし」

 「何の話をしている⁉」

 「だから私、タッちゃんが大好きなの」

 「馬鹿にしてるのか⁉」

 「誉めてるのよ」

 「何処がだ!とにかく!それだったら男子部の生徒を呼んで、

こいつの体を確認させればいい!

これなら男同士だから、あ、アレを見られても問題はないだろ!」

 「でもそれだともし乙子ちゃんが本当に女の子だった時、

乙子ちゃんの裸を、見ず知らずの男子生徒に見られる事にならない?」

 「だあああっ!だったらどうしろと言うんだ⁉」

 「本人に聞くのが一番早いわよ。ね?」

 「え?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ