11 どうしてこうなった
というけたたましい叫び声が、教会の中に響いた。
その声の方に、周りの生徒達の視線が集中する。
そしてその先には、大きく目を見開いた、撫子の姿があった。
その撫子は次の瞬間紳士クンの方へ向かって、
ジョイナーの様なスタートダッシュで駆け出し、五秒もしないうちに、
入口付近に居た紳士クンのすぐ目の前まで到達した。
「あ、あんた・・・・・・」
紳士クンの両肩に手を置き、息をゼーゼー切らしながら、撫子は言った。
「な、何でここに居るのよ?」
「え?えーと、ボクはそんなつもりなかったんだけど、
そこの愛雛先生が、ボクをここに案内してくれて・・・・・・」
「あれ?私何か、余計な事した?」
紳士クンの言葉に首を傾げる愛雛先生。
しかし撫子は、そんな事はどうでもいいというような口調で、こう言った。
「ていうかあんた、何を着てるのよ?」
「へ?何って、この学園の制服に決まってるじゃ──────」
紳士クンはそう言いながら自分の服装に目をやったところで、
声を詰まらせて凍りついた。
確かに紳士クンはその言葉通り、この学校の制服を着ていた。ただしそれは、
女子部の制服だった。
「えええええっ⁉」
さっきの撫子と同じくらいのけたたましさで、紳士クンも叫び声を上げた。
「い、いつの間にこんな格好に⁉ボクは男──────モガッ⁉」
男なのに!
と叫ぼうとした紳士クンの口を、撫子が慌てて塞いだ。
そして至極声を潜めてこう言った。
「とりあえず落ち着きなさい。
あんたが何でそんな格好をしてるのかは、何となく想像できるから」
そう言って撫子は、奥の方に居る令の姿を見やった。
すると令はさも愉快そうにニンマリと笑い、
紳士クン達に向かって右手をヒラヒラ振った。
「マッタク、あの人のイタズラ好きにはホトホト困らされるわ・・・・・・」
心底困った様子で撫子は呟いた。と、その時、
「何を騒いでいる!」
と声を荒げ、撫子の背後に一人の女子生徒が現れた。