表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンの入学式
15/103

11 どうしてこうなった

というけたたましい叫び声が、教会の中に響いた。

その声の方に、周りの生徒達の視線が集中する。

そしてその先には、大きく目を見開いた、撫子の姿があった。

その撫子は次の瞬間紳士クンの方へ向かって、

ジョイナーの様なスタートダッシュで駆け出し、五秒もしないうちに、

入口付近に居た紳士クンのすぐ目の前まで到達した。

 「あ、あんた・・・・・・」

 紳士クンの両肩に手を置き、息をゼーゼー切らしながら、撫子は言った。

 「な、何でここに居るのよ?」

 「え?えーと、ボクはそんなつもりなかったんだけど、

そこの愛雛先生が、ボクをここに案内してくれて・・・・・・」

 「あれ?私何か、余計な事した?」

 紳士クンの言葉に首を傾げる愛雛先生。

しかし撫子は、そんな事はどうでもいいというような口調で、こう言った。

 「ていうかあんた、()()()()()()()?」

 「へ?何って、この学園の制服に決まってるじゃ──────」

 紳士クンはそう言いながら自分の服装に目をやったところで、

声を詰まらせて凍りついた。

確かに紳士クンはその言葉通り、この学校の制服を着ていた。ただしそれは、


 女子部の制服だった。


「えええええっ⁉」

さっきの撫子と同じくらいのけたたましさで、紳士クンも叫び声を上げた。

 「い、いつの間にこんな格好に⁉ボクは男──────モガッ⁉」

 男なのに!

と叫ぼうとした紳士クンの口を、撫子が慌てて塞いだ。

そして至極声を潜めてこう言った。

 「とりあえず落ち着きなさい。

あんたが何でそんな格好をしてるのかは、何となく想像できるから」

 そう言って撫子は、奥の方に居る令の姿を見やった。

すると令はさも愉快そうにニンマリと笑い、

紳士クン達に向かって右手をヒラヒラ振った。

 「マッタク、あの人のイタズラ好きにはホトホト困らされるわ・・・・・・」

 心底困った様子で撫子は呟いた。と、その時、

 「何を騒いでいる!」

 と声を荒げ、撫子の背後に一人の女子生徒が現れた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ