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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンの入学式
11/103

7 連れて来られた場所は・・・・・・

「着いたわ、ここよ」

 校舎二階のとある一室の前まで来た所で、令は紳士クンにそう言って立ち止まった。

 「こ、ここ、ですか?」

 令のかたわらで立ち止まり、その部屋の扉の上を見上げる紳士クン。

その扉の上にはプレートが貼られていて、そこにこう書かれていた。

 『エシオニア学園女子部・生徒会室』

 その文字を読み取った紳士クンは、疑問に思ったいくつかの事を、令に聞いてみる事にした。

 「あの、ここ、職員室じゃあ、ないですよね?」

 「そうね」

 ちなみに職員室は、男子部女子部ともに、それぞれ校舎の一階にある。

紳士クンは続けて聞いた。

 「それにこの校舎、男子部じゃなくて、女子部の校舎ですよね?」

 「そうね」

 エシオニア学園は、校舎が男子部と女子部に完全に分けられており、

男子が女子部の校舎に、そして女子が男子部の校舎に入る事は、厳しく禁じられている。

 「あの、男のボクがこっちの校舎へ来るのって、マズイんじゃないですか?」

 「見つかったら懲罰(ちょうばつ)ものね」

 「・・・・・・えと、それなのにどうして(すご)(くき)会長は──────」

 「令お姉さまとお呼び」

 「は、はいっ。えと、令お姉さまはどうして、ボクをこんな所に?」

 紳士クンのその質問に対し、令は最大級の妖しい笑みを浮かべて言った。

 「楽しい事を、する為よ♡」

 「た、楽しい、事・・・・・・?」

 絶世の美女にそんな事を言われると、普通の男なら、

あんな事やこんな事、更にはそんな事まで想像や期待をしてしまうが、

この状況の紳士クンは、むしろ全く逆の、何かよからぬ事が起きそうな不安を抱いていた。

そしてこのままここに居るのは危険だと直感した紳士クンは、

 「あの、せっかく誘ってもらって申し訳ないんですけど、

ボク、男子部の入学式に出なきゃいけないんで、これで失礼します!」

 と言って踵を返し、令の前から立ち去ろうとした。

そんな紳士クンを令は、

 「逃がさないわよ」

 と言って、ガバッと背後から抱きすくめた。

 「わわわっ⁉ええええっ⁉」

 撫子以外の女性にこんな風に抱きすくめられた事のない紳士クン

(ただし撫子の場合は、

背後から羽交い絞めやヘッドロックをされる事がほとんどである)は、

心臓が飛び出る程に驚いた。



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