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紳士クンの、割と不本意な日々  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンの危機
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26 実はバレていた?

「怖かったよ乙子ぉっ!」

 もはやお互い入れ替わっている事も構わず、撫子はそう言って泣きじゃくった。

そんな撫子の肩にそっと手を置いた紳士クンは、

 「もう大丈夫だから」

 と優しい口調で言った。

今までは撫子に助けられてばかりだった紳士クンは、ちょっと複雑な気持ちだった。

だがそれは決して嫌な感情ではなく、大切な人を守れたという達成感だと実感した。

 (これでボクも少しは、男らしい男に近づけたかな?)

 と、心の中で密かに思っていると、そんな二人を傍らで眺めていた太刀が、

撫子(・・)の肩に手を置いて言った。

 「行くぞ撫子(・・)。この盗撮魔の後始末がまだ残っている」

 その言葉に、撫子と紳士クンはギョッとして太刀の顔を見た。

 「た、太刀お姉さま・・・・・・」

 「えーと、これは、その・・・・・・」

 撫子と紳士クンは、この期に及んで必死に言い訳を考えた。

しかし太刀は特に怒った様子もなくこう言った。

 「言い訳はいい。こうやって盗撮魔が捕まった事だし、細かい事は追求しないから安心しろ」

 それを聞いた撫子は目を丸くして言った。

 「ほ、本当ですか?」

 「私を信じろ。それより──────」

 と、太刀は紳士クンの方に視線を移した。

 「な、何でしょう?」

 緊張のあまり身をこわばらせる紳士クン。

その紳士クンに、太刀は珍しく優しい口調でこう言った。

 「良い働きだった。感謝するぞ」

 「え?あ、ありがとうございます」

 太刀の思わぬ言葉に、紳士クンはそう返すのが精一杯だった。

すると太刀はすぐにいつもの真剣な口調に戻り、

 「それでは撤収するぞ!」

 と言って踵を返し、気絶した隠子を引きずりながら、保健室を出て行った。

その太刀の後姿を眺めながら、紳士クンは思った。

 (あの人、この後太刀お姉さまにどんな目にあわされるんだろう?)

 するとそんな紳士クンに、令がボソッとこう言った。

 「あの盗撮犯の子は、生きてこの学園から出られないかもね~」

 その冗談にも聞こえない令の言葉に、紳士クンは苦笑いを浮かべるしかなかった。



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