東条湖編11 淋しい女は
「ごめんな」
はいはい
何時ものヤツ。
僕は振られることに慣れていた。
告白した後の空気の濁り方で即解るという技術を身に着けていた。
この時はまるでショックも糞もなく、
「あ、そうか・・・・わかった」
という感じだった。
次の日
仕事が終わり、気晴らしに車で買い物に行っていた。
良い肉と言い卵を買い、どうやって食べようかと意気揚々と部屋へ帰ってみると、コズが居た。
おかしい・・・
昨日振られたのは夢かな?と一瞬思ったが、僕も何も考えず
「おつかれ!!肉たべよう」
などと、何事もない感じでまた同じ夜が始まった。
勿論
良い肉を喰い
良い卵でやる気が出たのは言うまでもない
女ってこういうもんなのかな?
とか、色々考える時期だったが、やはり見えていないものがあったのだ。
それは、後々教訓としてわかるのだが、
淋しい女は失恋中なのだ。
本当に好きな人に振り向いてもらえなくて、ちょうどいい人材がそこにいたのだ
つまり私
ただ、この頃の僕はバカだから
上手くいってる。
好かれている
Hができるぞ
くらいしか考えてない。
全く持って青春は恐ろしい。
相手は明らかに病んでいるのだ。
後の話で明らかになったのは、この頃
僕が東条湖に来る少し前
春に同期入社したあの、爽やか青年で、あの腐りかけた人間の集合体の遊具スタッフの中でも唯一輝いていた、友藤君と色々とあったらしい。
友藤君はそれはそれは爽やかで持てるであろう。
その友藤君に振られたのだった。
そして、冬が来て浮かれた馬鹿が軽井沢からやってきて、
「好きです」
なんて、つぼ八ばりに言ったもんだから、いい退屈しのぎになってしまったのだ。
こう書くと女の子が悪いみたいになるけど、ここで
「付き合えない」
という純粋な女性であったことは間違いないのだ。
気持ちは解る。
コズにしてみれば
振った友藤君への当てつけだし
ただ単に淋しさをどうしていいか解らなかったのだと思った。
もう一つ後から知ったことだけど
なんでこうも僕の部屋にちょこちょこと遊びに来るのか?
発情しているのかな?
とか馬鹿な疑問を抱いていたのだが、僕にとっては面白い理由がそこにあったのだ。




