東条湖編3 糞先輩
早速移動日の翌日くらいに歓迎会が開かれた。
全く歓迎されている気がしなかったが。
というのも、僕ら軽井沢の園内管理スタッフは東条湖では遊具担当となったのだが、遊具には沢山のジジイの・・・いや年配の社員がいて、年末年始のアルバイトも若い男子を沢山雇っていた。
なので、軽井沢のやり方を・・・どうのこうのというよりは、邪魔な存在にすらなっていた。
その証拠に、初日から遊具を一通り覚えさせられ、それが終わると駐車場の整備に回された。
ちょっと使えるアルバイト以下の存在。
この時
色々と僕らを教える東条湖のスタッフに、井岡と畳谷という糞社員がいた。
文字通りクソな先輩
確かに僕らより勤続年数は上なので先輩だが、畳谷は同じ歳なのに、とてつもなく上からモノを言う奴だった。
遊具にはこの僕らと同年代の人間が3-4人いて、あと10人くらいジジイが居る。
一番年下で若い爽やかな青年「友藤」君だけいい奴で、あとは皆僕らを邪魔な存在としていたのか、やたらと冷たかった。
僕はもう会社を半分辞める気でいたので、上等だと開き直った。
その夜「長渕剛」を聞いて寝た。
翌日も重い気持ちで出社すると、また駐車場の整備に回された。
田舎なので駐車場が無駄に広いし、砂利だから大変だった。
そこで一緒に働いたのが
「川上さん」
といって、やっかいであるけど、おもろいジジイだった。
簡単に言うと、川上さんは50代後半のジジイで、言わば窓際族的な存在。
部署長の久保さんといつも喧嘩している人。
川上さんは怒られると無茶苦茶な言い訳をするので初めは面白く聞いていたが、徐々に明らかになってきたのは、この部署ではイジメられているのだった。
一日の終わりにミーティングなる世界で一番無駄な時間があるのだが、そのミーティングとは皆で川上さんを責める会だったと言っても過言ではない。
ほとんどの時間が業務に関係ない時間だった。
部署長の久保「携帯電話の使用に関して・・・・」
から始まり
ダラダラと川上さんが仕事中に奥さんと携帯電話で話していた事を責め立てる。
社員「それはあかんわ。」
社員「それが許されたらわしも好き放題するで」
などと、川上さんが集中砲火を浴びる
川上「なら緊急事態の時はどないするんですか?奥さんが何かあっても携帯電話に出たらあかんのですか」
などという言い訳が始まる。
こんな感じのミーティング週に2~3回行われる
僕は聴いていて思った。
世界一無駄な時間だ。
遊園地の中で接客しながら携帯に出るヤツなんていない。
川上さんも隠れて話していた。けど、休憩時間に電話はするものだ。
小学生でもわかる。
そんなことを、皆で小一時間話し合うのだ。
僕は思った。
早く帰りたい。
にしても川上さんもひどい言い訳をしているのだが、可哀そうだった。
本当に優しい感じのメガネの気弱そうなおっさんで、愛妻家なのだ。
僕の心の中で「長渕剛」が流れていた。
一発僕が爆弾を放り込んでやろうと決意した。
それはもう少し先の話




