軽井沢編13 ハリオ
車を探しに歩きでヤングロッジへ向かった。
ヤングロッジまでは、歩いて15分くらい
歩きながら考えた。
ハリオは女好きだ。
ヤングロッジから来たアルバイトの女子が何人かいた。
そこでカッコつけて送って行ったのだ。
真夏の夜の軽井沢
月がキレイだった。
緑の匂いが深く、木々が呼吸しているかのようだった。
僕は歩きながら冷静さを失っていた。
心の底から湧き出る怒り。
ハリオは女の為に平気で嘘をつく。
ハリオは女の為に平気で金を借りる
ハリオは女の為に平気で裏切る
今までの事が蘇ってきた。
去年石川さんが、ハリオからお金を取り立てた理由もそこにあった。
目の前が赤くなるほどの怒り。
ヤングロッジには久しぶりに来た。
一年前不安で仕方が無かったころ住んでいた記憶がよみがえった。
アルコールと腐敗臭が鼻を突いた。
色々な感情が溢れた。
怒鳴りながら廊下を歩いた
「ハリオ――!!出てこい!!」
何事かと、色々なアルバイト達が部屋から出て来た。
血走った僕の目を見た人はすぐに部屋へ入っていった。
僕は我を忘れたかのようにハリオを探した。
後から、先ほどハリオの行方を教えてくれたアルバイトの男の子が、追ってきて僕を止めた。
彼、坂井君は必死だった。
「坂井君。ここに居ないなら次は寮へ行こう」
と僕は冷静な坂井君を連れて行くことにした。
自分でも我を忘れていることが怖くなり、止めてくれた坂井君を連れて行くことにしたんだと思う。
ヤングロッジを出て、駐車場奥の別荘へ歩いて行った。
こんな夜中に敷地内を歩くことは無かった。
昔石川さんが住んでいた別荘にハリオは住んでいる。
歩くことまた15分
別荘の入り口に僕の車があった。
買ったばかりのディアマンテ
乱暴にドアを開けて中に入った。
ハリオは布団の上で横になりながらテレビを観ていた。
その姿を見て、僕の中で何かが切れる音がした。




