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裏Resort  作者: まさぐりまさお
1年目
47/108

白馬編18

3月になり昼間も暖かい日が続くようになってきたある日




渡辺が解雇された。




理由はいくつもあった。




そう、遊びすぎ。




でも、そんなこと言ったらみんなそうだ。


渡辺に理由を尋ねると、訳が分からないと言う。


渡辺は頭が悪いからこいつに聴いても仕方がないと思い、周りのスタッフに聴いてみた。


すると、前々からパトロールの人々から目をつけられていたようだ。


そこに来て、キッカケというのが




「夜酔っぱらって、風呂場で転んで額を切ったので、帰ってもらうのだ」




と。




この内容に僕は納得いかなかった。


バカだけどいい奴だし、レンタルでもちゃんと働いていたはず。


契約は3月いっぱいだし、理由が明らかにおかしい。




この頃、ホテル側も3月になると暇な日が増えてくるので、ブラジル人などを契約満了せずに帰していた。


おかしいと思っていた。


お別れ会の時も、まだ3月に入ったばかりなのに・・・と思っていた。


そんな勝手な事があるかと思った。




僕も、一年目とはいえこのグループ会社の社員だ。




パトルールが偉そうに威張っているけど、ただの先輩であるし上司だ。


意見を言う権利はある。




今までの、レンタルのゆめっちの件や、その彼氏の件、パトロールの偉そうな態度などなど怒りが溜まっていた僕は、パトロール隊長の大塚さんという奴に会いに行った。




そこで渡辺の件はどうしても会社として、人を雇用する側としておかしい事をまくしたてた。




この頃、軽井沢でもトイレ掃除の件で失敗をしているが、僕のいい方は幼稚だった。


感情に任せて乱暴に言うだけ。




大塚隊長も頭に来たんだろう




「なんでお前みたいなやつにそんなこと言われなきゃならないんた!」




喧嘩したかった。


ぶん殴りたかった。


でも出来ない。


社会人だから・・・・




涙が出て来た。




そうだった。


僕はリフトの脱索という失態を犯しているし、パトロールにはお世話になってる。


そこに来て、軽井沢のスタッフが偉そうに、隊長に突っかかっている。


こうなるよな・・・・




そう考えたら、冷静になれた。




「でも、解雇の理由がそれでいいのですか?会社ってそういうことしていいのですか?」




少しは冷静に問い詰めたつもりだったが、聞く耳を持たなかった。


隊長は最後にこう言った




「お前ならあーいう奴を雇うのか?よく考えろ」




納得いかなかったが、全く力が及ばなかった。


普通アルバイトでも契約があるし、明らかに契約違反であると思う。


でも、今後僕にもこの大塚隊長の言葉が響いてくるのだ。


その後、僕もこういう解雇の仕方をせざる負えない状況が来るのだが、そのたびにこの時の言葉を思い出した。




色々な理由で、僕らの遊び仲間も次々と白馬を去って行った。




最後に、みんなでスノーボードを滑った。






コルチナには新雪が溜まる急なコースがあって、誰にも荒らされないうちに従業員の僕らがその新雪を「喰って」やろうという事になった。


この通称BⅭコースが快適で、新雪が降るとボードの板を上げながら直滑降する。


まるで雲の上をフワフワと飛んでいるみたいな感覚。


この時ばかりは最高の気分だった。






バカには相応しいお別れ会となった。




しかしある夜。




僕は車で白馬駅に居た。


渡辺と幸子を迎えにきたのだ。

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