白馬編14
ホテルの中の支配人室
「ふーん一番偉い人がいる部屋って言ってもこんなもんか」
と思いながら、ノックした
コンコン
村田支配人
背が大きくて、ロン毛
齢40代-50代
威圧感が半端ない。
そこで僕は昨日の酒が抜けていく。
昏々と説教された。
共同生活とは何か
仕事とはなにか
最後に
「東条君に謝り、きちんと理解を得なさい」
理解?
支配人曰く
「飲み会をやるなとは言わないが、やる前に一声かけろという事だ」
なんだそういう事か。と楽観的に
「はい」
と言った。
だが・・・・
僕の行動は洗いざらい東条さんから報告が入っており、このことは本部の大原さんへ報告しておくとのこと。
まてまて!
注意だけじゃないのかい!
僕は本部の経理部長クラスの人の紹介で入社している為、本部へ報告されるのはまずい。
大原さんは軽井沢の統括をしている人で、いわば僕をあずかってくれた人。
そこに話が行くっていう事は、良くない。
どういう事かというと、この時点で東条さんは僕を解雇に追いやるつもりで支配人に話を持って行ったらしいのだ。
今までさんざんぶつかって、目の前で規則を散々破ってきたのでそれもまとめて報告したという事だ。
でも、証拠が無い
アルバイトと酒を飲んでいたというだけだ。
しかし、遊びすぎていたことは事実で、同室の皆に迷惑をかけていたことも事実。
飲み会だけじゃなくて、クラブに行ったりしたときには朝方帰ってきて、がたがたうるさいし。
酔っぱらってアルバイトの女子を二段ベットの僕のスペースに連れ込んでいたこともバレている。
この時の心境としては
既に、東京への未練は一切なく、あのナオミともメールをしていたが、断然白馬が楽しくて仕方がないので、どうしても解雇になりたくなかった。
そう、今考えると青春時代とはこのこと。
終わりたくない。
そう考えると、東条さんに深く謝罪しないといけない。
でも、この時僕は腹の中で東条さんに殺意が湧くくらいムカついていた。
逆に、この男をいつか退社へ追い込んでやると決意した出来事だった。
これがきっかけで、この後も表面上は同じ部署の先輩だけど、事あるごとに喧嘩になった。
そして、仲のいいアルバイトやリフトのスタッフにこう言いふらした
「あいつはチクリ屋だから気をつけろ」
その後、東条さんは仕事でもプライベートでも、今まで以上に孤立していった。
僕は生意気なガキだった。
支配人に説教されたその日
東条さんに深く謝罪した。
心の中では、プッチモニが流れていた




