白馬編7
2000年
年も明け、新たなスタート。
2000年問題がこの頃騒がれていたが、大丈夫だったらしい。
僕はリフト係になった。
アイドルの仲間入りだ。
リフト係は、朝は6時に出勤し、リフトの点検をする。
山頂にはモービルで登っていく。
どんなに悪天候でも、雪が深くても気合で上がって、一通り点検してから動かす。
後はお客さんの乗り降りを安全に手助けする。
例えば、子供なんかは巻き込まれないように、後ろから乗せてやる。
足元がふらついている女性も同じ。
それ故のヒーローなのだ。
この時分かったのだが、リフト係の中でも、ずば抜けた接客をし、スノーボードも上手く、リーダー的存在の男子がいた。
それが、「桜井君」だった。
ホテルのレストラン係が好きになるわけだ。
お客様からのファンレターもほとんどこの桜井君宛て。激しいな桜井君。
あとは、乗り降りの時にコケないように、乗り場の降り場の地面をステージと呼ぶのだが、そこがほっとくと氷ってツルツルになるので、スノーダンプでならす作業や、機械の定期点検、あとはコケた時に緊急停止ボタンを押す係。などだ。
暇な時は、筋トレを兼ねて、半袖でひたすら雪かきをしていた。
リフトで働く人は
2割の地元の老人
3割の若者の男子
残りの5割はブラジル人だった。
やたらとブラジル人が多いなと思った。
でも、アルバイトの寮には姿が見えなかったので、
おかしいなと思って聞いてみると、小谷駅の近くにブラジル人だけの寮があるとのこと。
ゲレンデとかホテルの敷地意外に寮があった。
そこは、ホテルから下山したところ。
車で約30分-50分くらいのところだった。
そこに遊びに行くのはまだ先のことなのだが、そのエピソードは改めて書きます。
僕はリフトマンとしてかなり満喫していた。
今まで通り渡辺とも仲良く、他のアルバイトスタッフとも仲が良かったので、自分の部屋にはあまり帰らないで、アルバイト部屋で呑んでばかりいた。
アルバイトの寮は男子寮と女子寮があったのだが、1月になると関係が無くなっていた。
みんな手が早いもので、カップルが何組も出来、それぞれの寮の二段ベットをカーテンで仕切って、二人の空間として使っていた。
凄い状態だと思った。
ここで仲良くなった高橋さんという姉さんがいて、ホテルのレストランの女子を何人も紹介してくれた。
でも、付き合うとかじゃなく毎晩、男女まみれて酒を飲む、そして、新しいバイトが来ると誰かしらが、飲み会に連れてくるという、黄金の飲み会システムが出来上がり、社員ということを忘れ、素晴らしい毎日を送っていた。
そこには色々な人がいた。
金と女が大好きで、皆から金を借りて詐欺みたいなことばかりやっている先輩
たしか「中沢」という人だった。
にしても、山籠もりする人間の特徴として、「借金」という共通点がある。
借金を背負っていない人が珍しいくらいだ。
あとは男女関係が本当にぐちゃぐちゃだった。
面白いくらいに。
真面目に恋愛なんてしている人は痛い目を見る。
そんな中、究極の人物を見つけてしまった。




