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裏Resort  作者: まさぐりまさお
1年目
19/108

軽井沢編-19

夏も終わって、9月に入ると軽井沢は急に秋めいてきます。


元々避暑地で気温が低いので残暑が多少はありましたが、しっかり秋になっていきます。




遊園地も夏休みの8月が終わると徐々に暇になっていき、スタッフも減り淋しくなっていきます。




そんな時




石川さんとその上司の田中けんじ(タナケン)が揉めていました。




タナケンは石川さん鎌田さんハリオを筆頭にその下のアルバイトを纏める責任者で、背が小さく、マッチョでした。


でも見た目は弱そうだけど、テコンドーをやっていたらしく、粋がっている人。口癖が




「おーい美味い物喰いに行こうぜ」




といって、友達の少なそうな彼はいつも軽井沢の駅前の焼肉をおごってくれました。


その時だけ、へコへコしながらみんな付いてくるのですが、それ以外は関わろうとしなかった記憶があります。






結局タナケンがその上司の大咲に報告する形となり、石川さんは退社することになりました。




これまでさんざんお世話になった石川さんが軽井沢を去るのは凄く苦しい思いでした。




そんな時に、石川さんとハリオが今度は揉めてました。


聞くと、ハリオはこれまでの飲食代を1円も払わすに、全て石川さんに出してもらっていて、さすがに少しは払えという内容だったと思います。




僕もそう思いました。




僕は社員になってからは、そんなに給料の変わらない石川さんが、いつも4,5人分の飲食代とか二次会のスナックを纏めて払って


いたけど、自分の分は陰で渡していました。


石川さんのメンツがあるので陰で渡してましたが、僕はハリオにも払うように言ってました。


最後に金銭で揉めるって悲しすぎる。


だから、ハリオには石川さんに5万でも10万でも渡して、


「今までお世話になりました」


でいいじゃないか。


と進言していました。




でも、これを意地汚いハリオは断り、石川さんを怒らせ本当に揉めて、多少の金額を払うことになりました。




この時点でハリオはヤバい奴だなと思ってました。




9月以降も、TPのハリオとTPのアルバイト達は何人か残っていた為、いつも飲みに行ってましたが、皆に説教されて半泣きしていました。




ハリオは長崎から東京へ出てきて、ねずみ講に引っ掛かり、借金で首が回らなくなって軽井沢へ逃げて来た男です。


金銭に本当にだらしない。


というか、こういう田舎者って、自分の物か人の物か区別が甘いのが僕は嫌いでした。


けど、この時は石川さんが




「ハリオはだらしないけど、会社は違えど、お前の後輩として面倒見てやってくれ」




と言い残して言ったので、何とか面倒見ることにしました。






石川さんが去る日


僕は休みを取って、一日石川さんと軽井沢の街に出て、温泉に浸かり少し観光して、最後お洒落な喫茶店に行きました。


そこでコーヒーを飲みながら、色々と語りました。


この人には色々お世話になったし、感謝を言い表せなく少し泣いてしまった。


後輩を大切にしろ


アルバイトと仲良くやれ


女子を大切にしろ


たった3か月くらいだけど、今でもこの教えは守っているつもりです。


濃かったです。










9月に入って落ち着いたところで、また事件が起きました。




売店のレジ金が大幅にマイナスになっているとのこと。




この遊園地は今考えると金の管理がザルで、誰でも金を盗むことが出来ると言われていました。




早くシステムを構築しないと、ヤバすぎるとみんな思っていましたが、実情は働くスタッフの良心に任せるという、なんとも田舎じみた考えでした。




この時の売店の責任者が季節社員のおっぱいの大きな中嶋




季節社員って言っても、ほぼアルバイトです。




そんな中島に容疑がかかりました。




最終的には警察が来て、証拠は出ませんでしたけど、会社の体裁を保つために中嶋はクビになりました。




最後にお別れ会をしましたが絶対にやっていないと言ってましたし、みんな信じていました。






これは誰かの策略だった可能性が大きい。


警察が来ても、何も出ないし、もし本当に中嶋が犯人だったら窃盗罪で逮捕ですよね。




こうして、僕が入った5月に居たメンバーは自社の社員の那須君だけ残り、あとはみんなバラバラになってしまいました。




リゾートの現場って悲しい




仕事が無くなったら帰宅しかないから、みんなバラバラになる。




この頃はSNSもないから、繋がれないし。




で、次から次へ新しい人がきて、また人間関係を構築する。これ、人間関係が下手な人は生き残れないなぁと感じた秋でした。




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